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「3歳で名前も書けるのよ、うちは」教育マウントを重ねたママ友。だが、先生のひと言で顔色が真っ赤に

門の前で始まる比べ合い
幼稚園の送り迎えで、必ず声をかけてくる人がいました。
同じクラスの、教育に熱心なママです。
「うちの子、もう課題を二冊終わらせちゃって」
「すごいですね」
その返事だけでは終わりません。次に来るのは、決まってこちらの子の話でした。
「そちらは、おうちで何かやってる?」
「絵本を読み聞かせたり、公園に行ったりくらいです」
「えっ、まだひらがな読めないの?」
声が少し大きくなりました。
門の前には、ほかのママも何人か立っています。
「3歳で名前も書けるのよ、うちは」
「そうなんですね」
「早期教育って本当に大事だから。今からやらないと、小学校で苦労しちゃうよ」
哀れむような目でした。愛想笑いを返しながら、私は息子の手を握り直したのです。
その日の夜、ひらがな表を買うかどうかで一時間ほど迷いました。
息子は絵本の同じページを何度もめくって、犬の絵を指さして笑っています。
懇談会で先生が返した言葉
学期末の懇談会は、保護者が全員そろう場でした。
担任が園での様子を話し、最後に質問の時間があります。
まっすぐ手が挙がりました。あの人です。
「うちの子、ひらがな50音はもう完璧なんです。園の時間、退屈しているみたいなんですけど」
部屋の空気が少し動きました。
担任は二十年以上この園に勤めている、ベテランの先生です。
にこやかに頷いてから、こう答えました。
「文字が書けるのは、本当に立派なことですね。おうちでよく向き合っていらっしゃるんだと思います」
「はい、毎日欠かさず」
「そのうえで、ぜひお伝えしたいことがあるんです」
先生は名簿を閉じて、顔を上げました。
「お嬢さんは、お友達が転んだときに、いちばん先に駆け寄って声をかけてあげられるお子さんなんですよ」
「……そうですか」
「困っている子に自分から気づける力は、教えて身につくものではありません」
周りのママたちが、深く頷いていました。目を潤ませている人もいます。
あの人の顔が、耳まで赤くなっていきました。
何か言おうとして口を開き、そのまま閉じます。膝の上で、手が何度も組み直されていました。
「…知りませんでした。娘が、そんなことを」
「ご家庭の育て方が出ているんだと思いますよ」
先生はそう言って、話を締めくくりました。
懇談会のあと、廊下ですれ違いました。
「さっきの、恥ずかしかったわ」
「いいお話でしたね」
私はそれだけ返しました。以来、ひらがなの話も、課題の冊数の話も一度も出ていません。
いまは門の前で会うと、あの人のほうから軽く会釈をしてきます。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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