Share
「やってる男のほうが少ないんだぞ」と家事育児アピールする夫。だが、娘の無邪気な一言で全員が凍りついた

手伝うだけの人
私はフルタイムで働いている。それでも家事も育児も、ほとんどが私の肩にのっていた。夫が口にするのは、いつも同じ一言だった。
「なんか手伝おうか?」
手伝う、という言葉に引っかかる。家のことは、本来は二人の仕事のはずだ。それでも夫は、ゴミ袋を玄関に出しただけの日も胸を張った。
「俺、ちゃんと家事やってるよな」
「ゴミ出しだけだよね、今日も」
「いやいや、立派な家事だろ。やってる男のほうが少ないんだぞ」
その自信が、どこから湧いてくるのか分からなかった。皿洗いも洗濯も、結局は私がこなしている。けれど月に一度、義実家に行くと、夫はまるで別人になった。
「いつもこうしてるんだよ、家でも」
義両親の前では率先して娘を抱っこし、オムツ替えまで買って出る。私はその姿を、すっかり白けた気持ちで眺めていた。
娘の一言
その日の昼も、夫は義実家のリビングで娘のオムツを替えながら、得意げに語っていた。
「育児も家事も俺が半分やってる」
そう胸を張る夫に、義両親が感心したようにうなずく。すると、おむつ替えをじっと見ていた娘が、無邪気な声で言い放った。
「パパがオムツ替えるの、はじめて見た!」
場の空気が、ぴたりと止まった。夫の手が、テープを留めかけたまま固まる。
「あ、いや、これはその……たまたま、家だと違うっていうか」
「だって、おうちではママばっかりだもん」
娘がさらに続ける。夫の額に、うっすら汗がにじんだ。義母が、ゆっくりと夫のほうを向いた。
「ちょっと、こっち来なさい」
静かだが、有無を言わさぬ声だった。呼ばれた夫が、肩をすぼめて台所へ消えていく。残された私に、義母は小さく目配せをした。
「あなたは、ずっと我慢してたのね。気づいてあげられなくて、ごめんなさい」
変わった休日
台所から、義母の声が漏れ聞こえてきた。
「育児は手伝いじゃないの。あなたの仕事でしょう。半分なんて、よく言えたわね」
「……はい。すみません」
戻ってきた夫は、もう胸を張ってはいなかった。義両親の前でしどろもどろになり、目を合わせられずにいる。義父まで、呆れたように腕を組んでいた。
帰り道、夫がぽつりと言った。
「明日から、ちゃんとやるよ。手伝いじゃなくて」
あれから、ゴミ出しでドヤ顔をする夫はいなくなった。代わりに、夕食の支度を分担し、洗濯物をたたみながら娘に話しかけている。
義実家で大きな顔をしていた人が、今は私の段取りに合わせて、何をすればいいかと先に尋ねてくる。立場は、静かに入れ替わっていた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


