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「あなただけ逃げるつもり?!」PTA役員を強要してくるボスママ。だが、夫が出した書類を見て顔が引きつった

塞ぎ込む妻
数年前、子どもの学校でPTA役員を決める時期のことだった。妻が夕食の席で、急に箸を止めて黙り込むようになった。
「最近、元気ないな。何かあった?」
「……委員長、やれって言われてるの。私だけ、ずっと」
声を絞り出すように、妻はそう言った。学校で町内を仕切るボスママのグループから、一番負担の大きい委員長を押し付けられているという。
見せられたメッセージアプリの画面には、こう並んでいた。
「やってないんだからあなたの番よ」
「みんなやってきたの。あなただけ逃げるつもり?!」
送迎の列でも、同じ調子で詰められていたらしい。
「私が断れないのが悪いのかな」
「悪いのはお前じゃない。あんな言い方をするほうだ」
そう返しながら、私は腹を決めていた。今度の集まりには私が出る。感情ではなく、理屈で返す。
夫が出した一枚
まず妻に、これまでのやり取りをすべて保存させた。次に、学校から配られていたPTAの運営規約を、何日もかけて読み込んだ。
そこには、はっきりこう書いてあった。
役員の選出は本人の同意を原則とし、いかなる場合も強制してはならないと。
後日の役員選出の集まりに、私は妻の代理として出席した。
「あら、ご主人?奥さんはどうしたの」
「妻が体調を崩しまして。代理で参りました」
私を予想していなかったボスママたちは、露骨に困惑していた。それでも一人が、声を張り上げる。
「とにかく順番なの。過去にやってないんだから、お宅がやって当然でしょう」
私は持参した規約のコピーを、静かにテーブルへ置いた。
「ここをご覧ください。役員の選出は本人の同意が原則で、強制してはならないと明記されています」
「……そんなの、今まで誰も」
「これ以上強要されるようでしたら、書面で学校長とPTA本部に正式な異議申し立てをします」
淡々と告げた瞬間、ボスママの顔が引きつった。さっきまでの勢いが、すっと引いていく。
隣の役員が「規約に、そう書いてあるなら……」と小さく漏らした。別の母親もうなずき、会場のあちこちで声がさざめく。
「い、いえ、無理にとは言ってないのよ」
声を裏返らせ、彼女は私から目を逸らした。あれほどの勢いはもう、どこにもなかった。
「では、妻への強要はもうないということでよろしいですね」
念を押すと、彼女は黙ってうなずくしかなかった。
その日を境に、妻への押し付けはぴたりと消えた。
送り迎えで顔を合わせても、向こうから目を伏せて、足早に去っていくようになった。
「今日ね、久しぶりにママ友とお茶してきたの」
笑ってそう話す妻を見て、出ていって正解だったと思った。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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