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「お義母さんの化粧品、持ってきて」数日間そばにいた私。最後にしてあげたかったこと

「お義母さんの化粧品、持ってきて」数日間そばにいた私。最後にしてあげたかったこと

義母のそばで過ごした、数日間

義母とは、結婚してから長い付き合いだった。

私が慣れない親戚付き合いに戸惑ったときも、義母はいつもさりげなく声をかけてくれた。

「そんなに気を遣わなくていいのよ」

そう笑ってくれる人だった。

身だしなみにも気を配る人で、出かける前には鏡の前に座り、口紅を引いてから玄関を出る。

派手ではないけれど、頬に少し色をのせている姿を私は何度も見ていた。

その義母の体調が悪くなり、家族から「いつ急に容体が変わってもおかしくない」と聞いた。

私は、できるだけそばにいたいと思った。

夫や家族と交代しながらではあったが、私は数日間、義母のそばで長い時間を過ごした。

眠っている義母の横に座り、昔のことを話した。

初めて家を訪ねた日のこと。二人で台所に立ったこと。買い物へ行ったとき、義母が鏡を見ながら口紅を直していたこと。

「お義母さん、覚えてますか」

返事はなかった。

それでも、私は何度も話しかけた。

ほとんど眠れていなかった私を見て、夫が一度家へ戻るよう勧めてくれた。

「少し休んできて。また来ればいいから」

私は迷ったものの、その言葉に甘えて家へ戻った。

布団に入ると、すぐに眠ってしまった。

そして、その日の夕方。

夫から、義母が息を引き取ったと知らされた。

いつもの義母らしい顔で送りたかった

その後、義母は家族のもとへ帰ってきた。

私は義母の顔を見ながら、しばらく何も言えずに座っていた。

穏やかな表情だった。

けれど、その顔を見ているうちに、ふと生前の義母の姿を思い出した。

出かける前、鏡の前で口紅を引き、頬に少しだけ色をのせていた姿だった。

私は隣にいた夫に声をかけた。

「お義母さんが使っていた化粧品、持ってきてもらえる?」

「化粧するの?」

「うん。いつものお義母さんみたいにしてあげたい」

夫は少し黙ったあと、うなずいた。

持ってきてくれた小さな化粧ポーチには、使いかけの口紅やチークが入っていた。

どれも、私が何度も見たことのあるものだった。

私は義母の頬に、ごく薄くチークをのせた。

それから、いつも使っていた口紅もほんの少しだけ。

「この色、よく使ってたよね」

私が言うと、横で見ていた夫もうなずいた。

少しずつ色が加わると、そこにいる義母が、いつもの姿に近づいたように見えた。

きれいにしてあげたいというより、最後まで義母らしい姿で送りたかったのだと思う。

「これなら、お母さんらしいな」

夫がそう言った。

私はその言葉を聞いて、ようやく少しだけ笑うことができた。

数日間そばにいたことも、最後にいつもの化粧をしてあげられたことも、今では私にとって大切な記憶になっている。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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