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「納得いかん。もう一回!」撮影スポットで何度も撮り直す男性。だが、同行者の一言で態度が一変

「納得いかん。もう一回!」撮影スポットで何度も撮り直す男性。だが、同行者の一言で態度が一変
順番が回ってきた男性が、デッキの真ん中から動かなくなった
今年の初夏、湖のほとりにある観光スポットへ出かけた。
水辺に向かって木製の展望デッキが張り出していて、そこに立てば湖と山の稜線がまとめて画面に収まる。
写真を撮るならここだと誰もが思う造りで、着いたときにはすでに10人ほどが順番待ちの列をつくっていた。
僕も最後尾に並び、前の人たちが一組ずつ上がっては下りていくのを眺めていた。
ひと組あたり、そう長くはかからない。このぶんならすぐだろうと気楽に構えていた。
流れが止まったのは、僕のすぐ前にいた40代くらいの男性の番になったときだった。
男性はデッキのちょうど中央に立つと、手すりに端末を置いてタイマーを設定し、小走りで元の位置へ戻る。
撮れた画像を確かめて、首をひねる。そしてまた端末のところへ引き返していく。
「納得いかん。もう一回!」
声に出しながら、男性は同じ動作を繰り返した。
腕を組んでみたり、遠くを指さしてみたり、ポーズを変えては何度も撮り直す。
そのあいだデッキの入口はふさがれたままで、後ろの列はじりじりと伸びていった。
待っている人たちは顔を見合わせ、気まずそうに視線を湖のほうへ逃がしている。
それでも誰も声をかけない。強く言うほどのことでもない気がして、けれど待たされているのは確かで、その中途半端な空気だけが積み上がっていく。
「もう一回」
男性はそう口にした。ただ、後ろを振り返る様子はない。悪びれているというより、列がどれだけ伸びているのか本当に見えていないという感じだった。
連れの女性が、そっと列のほうへ目をやった
やがて男性は連れの女性を呼び寄せ、今度は二人並んでの撮影を始めた。
「もっと右!いや、そこじゃない!」
大きな声で指示され、女性は言われるままに半歩ずつ位置を変える。
そのたびに男性は端末とデッキの中央を往復し、画面を見てはまた首をひねった。
「もういいんじゃない?」
「せっかく来たんやけん完璧に撮る!」
女性の声は届いていないようだった。男性はまた端末のほうへ戻ろうとする。
その背中に向けて、女性は今度は何も言わず、ゆっくりと列のほうへ目をやった。それから、その先を軽く指さして静かに言った。
「後ろ、待っとる人がおるよ」
男性の動きが止まった。振り返った先には、僕たちが着いたときよりずっと長くなった列があった。
「……ほんとや。気づかんかった」
男性はばつが悪そうに端末をポケットにしまうと、小さく頭を下げてデッキの中央から場所を空けた。
止まっていた列がようやく動き出し、順番はすぐに僕のところまで回ってきた。デッキに立つと、湖の水面が光を静かに返していた。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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