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「新幹線代は、そちらで出してほしい」県外での式に来るための費用。だが、彼の母が二人に求めてきた時の本音

遠くで暮らす従姉妹から、沈んだ声の電話がきた
従姉妹から電話がかかってきたのは、彼女の結婚が決まってしばらく経った頃だった。
相手とは県外同士のつきあいで、結婚後は従姉妹の実家がある土地で暮らすことになったという。
式もこちらで挙げるつもりだと、少し照れたように話していた。
「実家も近いし、そのほうが落ち着くと思って」
そう言った声は明るかった。ところが数日後にかかってきた電話では、従姉妹の声はすっかり沈んでいた。
彼の母親から、思いがけない要望が出たのだという。
「新幹線代は、そちらで出してほしい」
式に来るための費用を、こちらで負担してほしいという話だった。
しかも彼の母の分だけではなく、まだ結婚していない弟の分も一緒に、ということらしい。
招く側が持つのが当たり前でしょう、というのが彼の母の言い分だったそうだ。
「聞き間違いかと思って、聞き直しちゃった」
従姉妹は笑おうとして、うまく笑えていなかった。招く側と招かれる側で感覚が違うことはあるのだろう。
それでも、そこまではっきり求められた話を、私は聞いたことがなかった。
「断ったら、来てくれなくなるかもしれないでしょう」
従姉妹はそう言って、彼と相談したうえで受け入れることにしたと話した。
彼も何度も間に立ってくれたが、母親は譲らなかったそうだ。
息子が遠い土地へ行ってしまう寂しさと、お金の感覚のずれが、ひとつになって出てきているように私には思えた。
お礼の電話で、彼が静かに間へ入った
式は、よく晴れた日に無事に終わった。
従姉妹が送ってくれた写真の中では、彼の母も弟も、穏やかな顔で並んで写っていた。
これで終わりだと、私も思っていた。
後日、彼の母からお礼の電話がかかってきたのだという。
従姉妹は洗い物の手を止めて受話器を取った。
ところが、式の感想をひとしきり話したあと、母親はふいに声の調子を変えた。
「ところで、ご祝儀、いくらだったと思う?」
従姉妹は受話器を持ったまま、何と答えていいか分からなくなった。
そのとき、横で聞いていた彼が手を伸ばし、黙って受話器を受け取ったのだそうだ。
「母さん、その話はここまでにしよう」
責めるでもなく、声を荒らげるでもなく、ただ静かにそう言ったという。電話の向こうはしばらく黙り、それから当たり障りのない話に戻って切れた。以来、お金の話が出たことは一度もない。
「あの人が言ってくれたのが、いちばんの救いだったよ」
従姉妹はそう言って、ようやく笑った。受け入れると決めたのも二人なら、区切りをつけたのも二人だった。
遠く離れた土地で、従姉妹はちゃんとやっている。私はそう思うことができた。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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