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「これ、忘れ物ですよ」砂場のそばにゴミを置いたまま帰ろうとした保護者。だが、別の保護者がさりげなくかけた一言

「これ、忘れ物ですよ」砂場のそばにゴミを置いたまま帰ろうとした保護者。だが、別の保護者がさりげなくかけた一言

砂場のそばに、空になった袋が置かれていた

風のない、よく晴れた午後でした。近所の公園の砂場には何家族かが集まっていて、私も子どもの隣にしゃがみ込み、型で抜いたプリンを作っては崩される、という遊びを何度も繰り返していました。

そこへ、小さなお子さんを連れたお父さんがやって来ました。3〜4歳くらいでしょうか。その子は着いたそばからスコップを握り、砂場のまんなかへ駆けていきます。

「パパ、みててね」

お父さんは「見てるよ」と返事をしながら、砂場の縁に腰を下ろしました。

しばらくすると、持っていた小さなお菓子の袋を開け、子どもを見守りながら食べ始めました。

休日の公園ではよくある光景ですし、その時点では私も特に気にしていませんでした。

ただ、食べ終わったあと、お父さんは空になった袋をくしゃっと丸めると、砂場の外側にあるベンチの足元へ置いたのです。

最初は、あとで持って帰るつもりなのだろうと思いました。

「パパ、こっち来て!」

子どもに呼ばれると、お父さんはすぐに立ち上がり、砂場の近くまで歩いていきます。袋はそのままでした。

風が吹くたび、軽い袋が少しずつ動きます。砂場のほうへ転がってこないか気になり、私は何度か目を向けました。

周りの親御さんたちも気づいているようでした。それでも、持ち主がまだ近くにいる以上、わざわざ声をかけるほどでもないのかもしれません。

「帰るときに持っていくんだろうな」

私もそう思うことにしました。

責める言葉は、ひとつもなかった

ところがしばらくして、お父さんが子どもに声をかけました。

「そろそろ帰ろうか」

子どもはスコップを片づけ、お父さんのところへ走っていきます。お父さんも荷物を持ち、公園の出口へ向かおうとしました。

けれど、ベンチの足元に置かれた袋には目も向けません。

本当に置いていくつもりなんだ。

そう気づいたものの、私は声をかけられませんでした。わざと置いたのか、それとも単純に忘れているだけなのかも分からなかったからです。

そのときでした。

少し離れたところで自分の子どもを見ていた別のお父さんが、ベンチのそばまで歩いていきました。

足元にあった袋を拾い上げると、帰ろうとしていたお父さんのほうへ数歩近づきます。

そして、落とし物を届けるのと同じような穏やかな声で言いました。

「これ、忘れ物ですよ」

それだけでした。

「ゴミを捨てないでください」と責めるわけでも、「ちゃんと持ち帰ってください」と注意するわけでもありません。

声をかけられたお父さんは一瞬きょとんとしたあと、袋を見て「あっ」と小さく声を漏らしました。

「すみません、ありがとうございます」

そう言って袋を受け取ると、自分の荷物の中へ入れました。

本当に忘れていただけだったのか、それとも置いて帰ろうとしていたのかは分かりません。

ただ、その人はそれ以上何も言わず、子どもの手を引いて公園を出ていきました。

残ったお父さんも、何事もなかったように自分の子どものところへ戻っていきます。

私はそのやり取りを見ながら、少し驚いていました。

相手を決めつけず、声を荒らげず、それでも「ここに置いたままにはしない」という意思だけはきちんと伝わっていたからです。

あとで家族に話したとき、いちばん印象に残っていた言葉は、やはりあの一言でした。

「これ、忘れ物ですよ」

強く注意することだけが、相手に気づいてもらう方法ではないのかもしれません。公園で起きたほんの数秒の出来事でしたが、今でもよく覚えています。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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