Share
「早く、はっきりさせろよ」通夜を終えたばかりなのに相続を迫った叔父。だが、親戚が静かに止めた瞬間

「早く、はっきりさせろよ」通夜を終えたばかりなのに相続を迫った叔父。だが、親戚が静かに止めた瞬間
故人を偲ぶ席で、叔父が突然切り出した
2年ほど前、親戚の通夜に参列したときのことです。
通夜を終えたあと、遺族と親戚が広間に集まり、故人を偲びながら軽い食事を囲んでいました。あちこちで昔の思い出話が始まり、古い写真を見ながら静かに笑う人もいました。
そんな空気が変わったのは、故人の兄弟にあたる叔父が突然、大きな声を出したときでした。
「ところで、この家の名義はどうするつもりなんだ」
広間の話し声が止まりました。
喪主を務めていた従兄弟が、少し間を置いて答えます。
「その話は、また落ち着いてからにしようと思っています」
しかし、叔父は納得しませんでした。
「後から揉めたら困るだろ。早く、はっきりさせろよ」
まだ故人を送るために親族が集まっている最中です。相続について話し合う必要があることは、誰もが分かっていたと思います。
それでも、今この場で話すことなのだろうか。
私はそう思いましたが、親族の前で叔父を強く注意することもできず、黙って様子を見ていました。
従兄弟も言い返しませんでした。ただ、膝の上に置いた手をぎゅっと握っていました。
年長の親戚が、静かに話を止めた
すると、叔父の向かいに座っていた年長の親戚が、穏やかな声で言いました。
「その話は大事だけど、今日はあの人の話をしよう」
叔父が何か言おうとすると、隣にいた親戚も続けました。
「そうだよ。名義のことは、みんなが落ち着いてから話せばいい」
責めるような口調ではありませんでした。
少しの沈黙のあと、別の親戚が故人の若い頃の話を始めました。
「そういえば、あの人、昔こんなことがあったよな」
すると誰かが「あった、あった」と笑い、そこから少しずつ会話が戻っていきました。
叔父もしばらく黙っていましたが、やがて小さな声で言いました。
「あいつは昔から、不器用なやつだったからな」
その声は、先ほどまでとは違っていました。
その夜、相続の話が再び出ることはありませんでした。
もちろん、相続や名義について話し合うこと自体は必要です。ただ、話す内容と同じくらい、話すタイミングも大切なのだと思います。
故人を偲ぶために集まった夜。親戚たちが声を荒らげずに話題を戻してくれたことで、最後まで穏やかに故人の思い出を語ることができました。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


