Share
「そんなに怒らなくていいよ」法事の席で飲み物をこぼした子供。だが、叔母が真っ先にかけた言葉とは

法事の席で、何度も子どもに声をかける母親
親戚の法事に参加したときのことです。
読経を終えて食事の席に移ると、それまで張りつめていた空気も少しずつやわらぎ、久しぶりに顔を合わせた親戚同士で昔話が始まりました。
そのなかに、小さな子どもを連れた親戚の女性がいました。
子どもは慣れない場所に少し落ち着かない様子で、椅子の上でも何度か体を動かしていました。
「今日は大事な日なんだから、ちゃんと座っていようね」
母親はそのたびに小さな声で注意していました。
周りに迷惑をかけたくないという気持ちが強かったのでしょう。
料理が運ばれてきても、自分が食べるより先に子どもの様子を気にしているようでした。
しばらくして、子どもが料理に手を伸ばした拍子に、手元のコップへ腕をぶつけました。
飲み物がテーブルの上に広がり、近くに置かれていた皿のほうまで流れていきます。
「もう、だから気をつけてって言ったでしょ」
母親は慌てて立ち上がり、子どもを叱ろうとしました。
子どもはびくっとして、申し訳なさそうにうつむきます。
「まず拭こう。失敗は誰にでもあるから」
そのとき、向かい側に座っていた叔母がすぐにおしぼりを手に取りました。
「そんなに怒らなくていいよ。まず拭こう」
そう言いながら、こぼれた飲み物を押さえていきます。
隣にいた親戚も皿を少し移動させ、私は近くにあった紙ナプキンを渡しました。
誰かが大げさに声を上げることもなく、数人で拭いているうちに、テーブルはすぐ元の状態に戻りました。
「すみません。せっかくの席なのに…」
母親がまだ申し訳なさそうにしていると、叔母は笑って言いました。
「子どもなんだから、こぼすことくらいあるよ。私たちだって昔は同じだったんだから」
すると子どもも、自分の前に残っていた小さな水滴を紙ナプキンで一生懸命拭き始めました。
「ごめんなさい」
小さな声でそう言うと、叔母は「もう大丈夫」とだけ返しました。
そのあとは何事もなかったように食事が続き、母親も少し肩の力が抜けたように見えました。
かしこまった席だからこそ、失敗させないようにと神経質になってしまうこともあると思います。
そんなとき、誰かを責めるより先に自然と手を動かした叔母の姿が、今でも印象に残っています。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


