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「こっち、もう少し早くお願いできる?」混雑で焦っていた従業員。だが、年配のお客様の一言に救われた瞬間
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客足が途切れない催事場
学生の頃、百貨店のバレンタイン催事で、短期のアルバイトをしたことがあります。
二月の売り場には、色とりどりのチョコレートが並び、朝から大勢のお客様が訪れていました。
特に混雑していたのが、会計とラッピングを行うレジです。
私の前には長い列ができ、会計を終えても、次から次へと商品が運ばれてきました。
「次のお客様、どうぞ」
箱を包装紙で包み、リボンを結び、手提げ袋に入れる。
何度繰り返しても、列はなかなか短くなりません。
慣れない作業に加え、お客様を待たせている焦りもあり、次第に指先がうまく動かなくなっていきました。
隣で会計を担当していた先輩も、余裕をなくしているようでした。
「こっち、もう少し早くお願いできる?」
強く責められたわけではありません。
それでも、失敗してはいけない、早くしなければならないと思うほど、手元がぎこちなくなりました。
列の方から聞こえてくる小さなため息にも、胸が縮むようでした。
思いがけない言葉
しばらくして、年配の女性が私のレジの前に立ちました。
私はいつものように頭を下げました。
「大変お待たせいたしました」
女性が購入したのは、小さなチョコレートの箱でした。
私は包装紙の端がずれないように注意しながら包み、リボンを結びました。
時間がかかっていることが気になり、女性から急かされるのではないかと身構えていました。
ところが、商品を渡すと、女性は笑顔でこう言ったのです。
「忙しいのに、丁寧に包んでくれてありがとう」
予想していなかった言葉に、私は思わず顔を上げました。
女性は続けて、
「大変だと思うけど、頑張ってね」
と声をかけてくれました。
その日、私は早くすることばかりを考えていました。
待っているお客様に迷惑をかけているのではないか、周囲の足を引っ張っているのではないかと、ずっと不安だったのです。
そんな中でかけられた優しい言葉に、張りつめていた気持ちが少しだけ緩みました。
「ありがとうございます」
そう返すと、声がわずかに震えていました。
女性はもう一度微笑み、手提げ袋を持って人混みの中へ歩いていきました。
その後も、レジの列が途切れることはありませんでした。
忙しさも変わらず、作業に追われる時間が続きました。
それでも、先ほどまでのような焦りは少し和らいでいました。
目の前の商品を、一つずつ落ち着いて包もう。
そう思いながら、次のお客様を迎えました。
隣にいた先輩も、女性が去ったあと、小さな声で言いました。
「優しいお客様だったね」
私も黙ってうなずきました。
忙しい時ほど、何気ない一言が心に残ることがあります。
あの日にかけてもらった「ありがとう」と「頑張ってね」という言葉を、私は今でも時々思い出します。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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