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「この家を継いで、母さんの世話をしてくれ」実家の挨拶で決定事項のように言う義父。だが、普段は反論しない夫が言ってくれた一言

初めての正月に向けられた不満
結婚して初めて迎えたお正月、私たちは夫の実家へ挨拶に伺いました。
年末はどうしても仕事が抜けられず、松の内に入ってからの訪問になってしまったのです。
床の間には鏡餅が飾られ、台所からは義母が用意したお雑煮の匂いがただよっていました。
本来なら、和やかであるはずの新年です。それなのに、居間に足を踏み入れた瞬間、部屋の空気がぴんと張り詰めているのが分かりました。
玄関で頭を下げると、義父は湯呑みを片手に、どこか不機嫌そうな顔をしていました。
「弟のところは、大晦日から泊まりで来てくれたぞ」
開口一番がそれでした。市内に住む義弟夫婦と比べられているのだと、すぐに分かりました。
年末年始も休めない仕事があるのだと説明したところで、義父の耳には届きそうにありません。
「すみません。うちは年末まで仕事が立て込んでいて」
私が小さくなって謝ると、義父はふんと鼻を鳴らし、座卓に湯呑みを置きました。
そして、まるで決定事項を読み上げるような口ぶりで、こう続けたのです。
「この家を継いで、母さんの世話をしてくれ」
夫が引いた一本の線
言葉を失いました。
この古くて広いだけの家を継ぎ、義母の介護まで背負う。そんな将来が、義父の中ではもう決まってしまっているようでした。
「この家はお前たちにやる。母さんの面倒も、頼んだからな」
正直に言えば、駅からも遠く、あちこち傷んだこの家を継ぎたい気持ちはありませんでした。
けれど初対面に近い義父を前に、私はうつむくことしかできません。反論すれば角が立つ。かといって頷けば、そのまま将来が決まってしまう。
夫はどう思っているのだろう。隣で黙っている背中を、私はただ見つめていました。
お願いだから、何か言って。声にならない思いで、そっと膝の上の手を握ります。
そのときでした。ずっと聞き役だった夫が、湯呑みを置いて、静かに口を開いたのです。
「父さん、家のことも母さんのことも、まだ何も決めてないよ」
義父の眉がぴくりと動きました。
「これから僕たち二人で相談して決めます。勝手に決めないでほしい」
穏やかな、けれど一歩も引かない声でした。義父は口を開きかけて、言葉を飲み込みます。反論を探すように視線を泳がせ、やがて小さく息を吐きました。
「……そうか」
それきり、義父は黙ってしまいました。いつも受け身だった夫が、私の隣ではっきりと線を引いてくれたのです。
その横顔を見て、私は張り詰めていたものがほどけていくのを感じました。
「二人で、ゆっくり決めていこう」
帰りの車で夫がそう言ったとき、私はようやく、心から頷くことができたのでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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