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「来月バイトして返すから、1万円貸して」借りたまま忘れた妹。だが、やんわりと催促した結果

「来月バイトして返すから、1万円貸して」借りたまま忘れた妹。だが、やんわりと催促した結果
切羽詰まった妹の頼み
大学生の妹は、普段から自分のことは自分で何とかする性格で、私にお金の相談をしてくることなど、これまで一度もなかった。
そんな妹がある晩、めずらしく神妙な顔で私の部屋を訪ねてきた。
ノックの音からして、いつもより遠慮がちだった。
「来月バイトして返すから、1万円貸して」
言いにくそうに切り出したその声に、よほど切羽詰まっているのだろうと感じた。
教科書代なのか、友人との付き合いなのか、事情は分からなかったが、あの妹が自分から頭を下げてくるのだ。
理由をあれこれ問い詰めるのも野暮な気がして、私は黙って財布を開いた。
「いいよ、困ってるなら。無理せず返してくれればいい」
妹はほっとした顔で、何度も頭を下げて自分の部屋へ戻っていった。
来月にはバイト代が入ると言っていたし、几帳面な妹のことだから、心配などしていなかった。
ところが、それから一ヶ月が過ぎても、妹が1万円を返す素振りはまるでなかった。
催促するのも、なんだかケチくさいようで気が引ける。
たった1万円のことで、兄が妹に小言を並べるというのも、どうにも情けない気がした。
妹のほうから返してくれるのが筋だし、無理でも一言謝ってくれれば、それで許すつもりでいた。
けれど日が経つほどに、貸したという事実だけが、宙ぶらりんのまま残っていった。
やんわり催促して返させた朝
ある休日の朝、台所で顔を合わせた妹に、私はさりげなく声をかけてみることにした。
角を立てたいわけではないから、あくまで軽い調子を心がけた。
コーヒーを淹れる手を止めない妹の横顔に、私は世間話でもするように切り出した。
「あの1万円、返してくれると助かるな」
「無理なら一言くれれば、それまで待つよ」
その瞬間、妹の表情がはっと固まった。
「あっ、ごめん。うっかり忘れてた」
本当に頭から抜けていたらしく、みるみる顔が赤くなっていく。
お金を借りたことすら忘れていた自分に、心底ばつが悪そうだった。
妹は慌てて自室へ駆け戻ると、財布を握りしめて戻ってきた。
「今すぐ返す。ちゃんと返そうと思ってたのに、ごめんね」
差し出された1万円札を受け取りながら、私は思わず頬がゆるんだ。
金額の多い少ないではなく、妹がその場できちんと向き合ってくれたことが嬉しかった。
「うん、ありがとう。言えてよかったよ」
責めるでもなく、責められるでもなく、兄妹のあいだにきちんとけじめがついた。
お金のことをうやむやにしなかったその朝は、妙にすがすがしい気分だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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