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「奇遇だね、また会っちゃった」どこへ行くにも先回りで現れる知人のことを、私が家族に打ち明けた日

行く先々にいる人
そこまで親しいわけではない知人がいました。同じ習い事で、月に何度か顔を合わせる程度の間柄です。
その人は、いつからか私の行く先々に現れるようになりました。駅の改札を抜けると、同じ電車の同じ車両に乗り込んできます。仕事帰りに寄ったスーパーでも、気づけば隣の棚に立っているのです。
「奇遇だね、また会っちゃった」
会うたびに、そう言って腕に手を添えてきます。私が右の棚に動けば右へ、左を向けば左へ。まるで鏡のように、同じ動きが返ってきました。
一度や二度なら、偶然で片づけられます。けれど毎回となると、さすがに偶然とは思えませんでした。
言えないまま、ためこんで
はっきり嫌だと伝えられたら、どれだけ楽だったでしょう。その一言が、どうしても喉の奥で止まってしまうのです。
「今日はこれからどこ行くの。私も一緒でいい?」
「ごめん、今日はちょっと用事があって」
やっとそう返しても、断りきる前に相手はもう隣を歩き出しています。約束の時間を少しずらしても、通る道を変えても、先回りするように目の前に立っていました。
相手を怖い人だと思ったわけではありません。ただ、人との距離の取り方が、どこかずれてしまっているように見えました。
それでも誰にも言えないまま、気持ちだけが少しずつ重くなっていきます。夜は眠りが浅くなり、朝の支度の途中で手が止まる日が増えていきました。
母に打ち明けた夜
その週末の夜でした。台所に立つ母の背中を見ていたら、急に目の奥が熱くなりました。
「お母さん、実はね、ずっと言えなかったことがあるの」
ためこんでいたことを、少しずつ言葉にしていきました。母は洗い物の手を止めて、最後まで口を挟まずに聞いてくれます。
「もうやめて、ついて来ないで」
本当はそう言いたかったのだと打ち明けたとき、声が震えました。母は濡れた手をふいて、私の隣に腰を下ろします。
「よく話してくれたね。こういうことは、ひとりで抱えなくていいのよ」
あとから父も加わって、これから相手とどう距離を取るかを、家族みんなで一緒に考えてくれました。ずっと胸につかえていた重さが、その夜、少しずつほどけていきます。
「大丈夫だ。次からは、父さんたちも一緒にいるから」
父の言葉に、私は久しぶりに、まっすぐ顔を上げてうなずけました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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