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「別にこれくらいいいだろ!」運動会で学校の備品に立って観覧していた夫婦→注意されたあとに見せた顔

「別にこれくらいいいだろ!」運動会で学校の備品に立って観覧していた夫婦→注意されたあとに見せた顔
後ろで金属の音がした
中学校の運動会の日でした。グラウンドの端に、保護者の観覧場所がロープで区切られています。競技は午前の後半、学年種目が始まるところでした。
私は前から三列目あたりに立っていました。背の高い人が多く、つま先立ちの人もいます。
それでも、ロープの内側には入らないという線だけは、全員が守っていました。
後ろで金属のこすれる音がしたのは、その時です。振り返ると、夫婦らしい二人がたたんだパイプ椅子を運んできたところでした。
校舎の壁ぎわに立てかけてあった、学校の備品です。
ご主人が椅子を開いて、そのまま座面に足をかけました。奥さんが下から背もたれを押さえています。
「見える見える。こっちのほうがずっといい」
周りの何人かが振り返りました。私も見上げる形になって、目のやり場に困ります。
先生は声を上げなかった
係の先生が小走りで来ました。
走ってきたわりに、声はとても静かです。
「そちらの椅子は、上に立たれると危ないので、降りていただけますか」
「別にこれくらいいいだろ!」
ご主人は下りません。先生は言い返さず、もう一度、順番を入れ替えて同じことを頼みます。
「座っていただくのは構いません。立たれると危ないので、そこだけ」
「こんなところに椅子を置いておくほうが悪いだろう」
奥さんも下から声を足しました。
「ほんと、むかつくわ。せっかく来てるのに」
自分から壁ぎわへ
そのあと、誰も何も言いませんでした。前にいた人たちが少しずつ振り返って、そのまま黙っています。放送だけが流れていました。
ご主人の声が止まりました。何か言いかけて、口を閉じます。奥さんが袖を引きましたが、その手も途中で下りました。
ご主人は座面から足を下ろすと、椅子をたたみました。金属の音が、来たときよりずっと小さく鳴ります。二人は誰とも目を合わせないまま、校舎の壁ぎわまで椅子を戻しに行きました。
「ありがとうございます。助かります」
先生は椅子のほうへ小走りで行き、そう言って頭を下げました。それだけで、あとは何も言いません。
戻ってきた二人は、観覧場所のいちばん後ろに立ちました。私の前にいた人が半歩ずれて、隙間を作ります。
「前、空きますよ」
ご主人はそちらへは行きませんでした。かわりに、聞き取れるかどうかの声でひとこと言いました。
「……すみません」
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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