Share
「側溝の落ち葉を出そう」溢れそうな道路の水。だが、近隣住民の行動に心温まった瞬間

水が道まで上がってきた
夜通し降った雨が細くなった朝、玄関を出ると道の端が池のようになっていました。
側溝の蓋の隙間から、茶色い水が盛り上がっています。
前の晩の風で、街路樹の葉と細い枝がまとめて落ちたようでした。
それが鉄の格子に貼りついて、水の逃げ道をふさいでいます。
傘をさしたまま立ち止まっていると、斜め向かいの家の方が長靴で出てきました。
片手に、園芸用の小さなスコップを持っています。
「側溝の落ち葉を出そう」
その方は傘を門柱に立てかけて、しゃがみました。
格子の隙間に手を入れ、貼りついた葉をひとつかみ引き出します。そのたびに、水がごぼりと音を立てて下がりました。
ほうきと軍手が集まってきた
犬を連れた方が、リードを短く持って足を止めました。
「うちにほうき、ありますよ」
そう言うと家へ戻り、竹ぼうきを二本抱えて出てきました。一本をこちらに差し出します。
「使ってください」
受け取って、蓋の上に散った葉を側溝から遠ざけるように掃きました。音を聞きつけたのか、二軒隣の玄関も開きます。
スコップを持った男性が、格子の反対側にしゃがみました。角を曲がってきた方は、軍手を何組も抱えています。
「手を切りますから、はめてください」
借りた軍手で葉をかき出しているうちに、道には七、八人が並んでいました。
顔は知っていても、話したことのない人ばかりです。
水が引いていく音
「そっち、まだ詰まってます」
「はい、こっちから押しますね」
上の側から順に葉をかき出して、詰まりを下へ落としていきました。
濡れた葉は重く、ひとかたまり抜くたびに水面が指一本ぶん下がります。
最後の枝が抜けると、たまっていた水が渦を巻いて吸い込まれていきました。
「ありがとう」
「助かったね」
誰が言い出したというでもなく、その言葉があちこちで交わされました。
集めた葉は、持ち寄った袋にいくつも収まっています。
作業は三十分ほどで終わりました。スコップを洗いながら、最初にしゃがんだ方が空を見上げます。
「まだ降りますね」
その言葉のとおり、夕方からまた強い雨になりました。
窓から見た道に水は上がらず、格子へ吸い込まれていく音だけが夜まで続いていました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


