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「皿の置き方が乱暴だ、店長を呼べ」満席の店内で15分も謝り続けた私を、隣の席の客が救った短い一言

皿の置き方が乱暴だ店長を呼べ満席の店内で15分も謝り続けた私を隣の席の客が救った短い一言

満席の夜に運んだ皿

大学生のころ、駅前の居酒屋でホールのアルバイトをしていました。

週末の夜は座敷まで全部埋まり、呼び出しのブザーが鳴りやまない時間帯があります。

その日も湯気の立つ皿を両手に抱えて、四十代くらいの男性が一人で座るテーブルへ向かいました。

伝票を確かめてから、卓の端にそっと置きます。

「お待たせしました、焼き鳥の盛り合わせです」

皿が卓に触れた、その瞬間でした。

「皿の置き方が乱暴だ、店長を呼べ」

近くのテーブルの話し声が、波が引くように止まりました。

「申し訳ございません」

「客をバカにしてるのか。金を払ってんだぞ」

雑に置いたつもりはありません。それでも言い返せる立場ではないので、両手を前で揃えて頭を下げました。

下げた頭が上がらない

奥から店長が出てきて、私の隣に並びます。男性の話を最後まで聞いてから、深く頭を下げました。

「行き届きませんでした。申し訳ございません」

「あんたじゃない。この子が謝れよ」

「申し訳ございませんでした」

「心がこもってないんだよ、やり直せ」

厨房の壁にかかった時計を、何度も見ました。針が15分進んでも、声の調子はまったく変わりません。

隣のテーブルから届いた声

そのとき、隣に座っていた年配の男性が箸を置いて、こちらへ体を向けました。

私たちより先に来て、ずっと同じ席で飲んでいた客です。

「ずっと見てましたけど、丁寧に置いてましたよ」

男性の口が、途中で止まりました。

「……いや、俺は音がしたって話をしてるんだ」

「音はしませんでしたよ。すぐ隣の席ですから」

言い返す言葉を探すように口が動き、そのまま閉じます。

近くの座敷から、小さくうなずく気配がいくつも伝わってきました。

「もういい、勘定してくれ」

伝票をつかむ手つきは荒いままでしたが、もう誰の顔も見ていません。

レジで金額を告げる間も、視線は足元へ落ちたままでした。

「立ちっぱなしで、つらかっただろう」

「置き方が悪かったのか、まだ分からないんです」

「悪くないよ。隣のお客さんが証明してくれたじゃないか」

店長はそう言って、私の手からトレーを受け取りました。

あの怒鳴り声は今でも耳に残っています。それでもあの夜から、皿を置く手は震えなくなりました。

「奥のお座敷、追加のご注文いただきました」

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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