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「今日だぞ、記念日!」楽しみにしていた記念日を流された夫。3日後、夫が伝えた本音とは
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一か月前から押さえた席
結婚記念日に妻と食事へ行こうと決めたのは、一か月ほど前のことでした。
「たまには焼肉でも行くか。この歳になると、そうそう食べられなくなるしな」
「あら、いいわね。じゃあ、おいしいお肉のところにしましょうよ」
その一言がうれしくて、私は自分で店に電話をかけました。
窓際の席が空いていると聞いて、迷わず二人分を押さえたのです。
それから当日までの数週間、カレンダーのその日には丸をつけて、何度も眺めていました。
仕事の帰りに店の前を通っては、少し得意な気持ちになったものです。
当日の朝も、いつもより早く目が覚めました。着ていくシャツにアイロンをかけていると、妻が台所から顔を出したのです。
「焼肉の予約、また今度でいいよね」
アイロンを持つ手が止まりました。
「今日だぞ、記念日!」
「友達に誘われちゃって。もう行くって返事しちゃったの」
妻は悪びれる様子もなく、そう言いました。長く連れ添った相手ですから、意地悪で言っているのではないことは分かります。
分かるからこそ、何と返せばいいのか分かりませんでした。
保留音を聞きながら
店に電話をかけると、しばらく保留音が流れました。やけに軽やかな曲でした。
「申し訳ありません、今日はキャンセルでお願いします」
受話器を置いてから、居間の椅子にしばらく座っていました。
窓際のあの席には、今夜、別の誰かが座るのでしょう。
妻は鏡の前で髪を直しながら、こちらを振り返りました。
「そんなに楽しみだったの?」
「……いや、そういうわけじゃないが」
そう答えたのは、たぶん見栄でした。
「日をずらすだけじゃない」
妻は笑って、玄関を出ていきました。戸の閉まる音のあと、家の中が急に広くなった気がしたのです。
その夜は、一人で食事を済ませました。冷蔵庫にあった煮物を温めて、テレビをつけて。音を大きくしても、箸が茶碗に当たる音のほうがよく聞こえました。
自分の気持ちを口にできたのは、三日ほど経ってからです。楽しみにしていたこと、当日に流されたのがこたえたこと。順番に、ゆっくり話しました。
「そんなに大事にしてたなんて、思わなかったの」
「言わなかった俺も悪い。でも、次からは先に相談してくれないか」
「…わかった。ごめんなさい」
それからは、お互いに大事な予定を勝手に変えないと約束しました。妻は私の予定を先に聞くようになりましたし、私も妻の約束を尊重するようになりました。
それでも、あの日のことを思い出すと、いまだに座りの悪いものが胸に残ります。丸をつけたカレンダーは、まだ捨てられずに引き出しの中です。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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