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「お客様じゃないから」結婚前にカニ鍋の残り雑炊を出してきた義母→二十年後に家族が下した評価

「お客様じゃないから」結婚前にカニ鍋の残り雑炊を出してきた義母→二十年後に家族が下した評価

初めての手料理

結婚前、初めて彼の実家へ挨拶に伺った日のこと。義母の手料理をいただけると聞いて、前の晩から少しそわそわしていた。

「上がって、上がって。たいしたものじゃないけど」

通された食卓に湯気の立つ土鍋が置かれ、ふたを開けると雑炊だった。よく見ると、底にカニの脚や殻のかけらが沈んでいる。けれど身らしい身は、どこにも見当たらない。

「昨日ね、家族でカニ鍋したのよ。その残りで作ったの」

義母はそう言って、当たり前のように私の前へよそった。隣で彼が「母さん、それは」と口を開きかけたけれど、義母は気にする様子もなくお椀を差し出してくる。

「いいのいいの。あなたももう身内みたいなものだから」

味そのものは出汁が利いていて、おいしかった。だから私もにこにこ食べて、おかわりまでして、その日は普通に帰った。帰りの電車で彼が小さく謝ってきたけれど、私はまだ何が引っかかっているのか、自分でもうまく言葉にできなかった。

あとから来たざわつき

家に着いて、ふと我に返った。前日に家族でつついた鍋の残りを、初めて来た人間に出す。それが嫌がらせの顔をしていないところが、かえって怖かった。怒りたいのに、怒る相手がいない感じ。悪意ならぶつけ返せるのに、悪意がないからこそ、行き場がなかった。

「お客様じゃないから」

結婚後、義母はこの言葉を繰り返した。気を遣わせたくない、という意味なら優しい。でも実際は、気を遣う対象から最初から外されているだけだと、だんだん分かってきた。

結婚式のときも、親族を運ぶバスの手配を、夫を通さず義母が直接式場へ電話していた。家を建てる契約をすませた後で急に反対し、わざわざ担当者を呼び出したこともある。そのたびに私は説明しようとし、声を荒らげ、言い合いになった。

「どうして勝手に決めるんですか」

「だって、よかれと思って」

会話はいつも、そこで行き止まりだった。何十年も家にこもって暮らしてきた人で、こちらの言葉が届く隙間がない。ある時、気づいた。これは分かり合えるとか合えないとかの話ではなく、人として向き合うこと自体が難しい相手なのだと。

あの雑炊は、最初に差し出されたサインだったのかもしれない。

今では夫のほうが先に嫌気がさし、年始すら顔を出さなくなった。子どもたちは義母のことを、陰でこう呼んでいる。

「第二おばあちゃん」

順位は、もう静かに決まっていた。引き止める言葉を、私はとうに失っている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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