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「廃校するらしいわね」妻とママ友の会話。だが、妻が重たい表情をしていた理由とは

娘の参観日の帰り、聞こえてきた会話
娘の授業参観の帰り、嫁が同じ学年のママ友二人と校門前で立ち話をしていた。俺は少し離れて車のキーをいじりながら待っていたのだが、その声がはっきりと耳に入ってきた。
「○○校、廃校するらしいわね」
「やっぱり、ここ数年、定員割れが続いていたからね」
口火を切ったのが嫁のママ友の一人、相づちを打ったのがもう一人のママ友だった。
二人とも、市内では文武両道で知られる進学校の出身だと、以前嫁から聞かされていた。
地元の私立高校が廃校になる、というのは確かに重い話題ではある。だが二人の口ぶりは妙に軽くて、嫁だけが下を向いたまま何も言わずに会話を聞き流していた。
表情が硬く、いつもの軽口も出てこなかった。
嫁が語った母校の本当の顔
家に帰る車の中で、嫁にそれとなく聞いた。あの話題で黙っていたのは何かあるのかと。
「あそこ、私の母校なの」
嫁はぽつりとそう言った。廃校が決まったのが嫁の母校で、しかも今は偏差値の低い高校として扱われていることは、俺も恥ずかしながら知らなかった。
嫁が続けた話に、俺は少し驚いた。
嫁が入学した当時、その学校は地元で昔から続く名門のお嬢様学校で、入学倍率も高かったらしい。
一方、ママ友達二人が出た進学校は、当時はヤンチャな生徒が集まる学校で、近隣住民から敬遠されていた時期もあったという。
立場が逆転したのは、ここ十年ほどの話だ。少子化と学区再編で評判が入れ替わり、片方が文武両道の進学校に化け、片方が定員割れに転落した。
同じ地区で、ちょうど鏡映しのように位置を取り替えたのだ。
無神経の中身に残ったもの
「調べればすぐ分かることなのにね」
嫁が窓の外を見ながら呟いた。ママ友二人は、今の偏差値だけで嫁の母校を品定めしていた。
在学当時、自分達の学校がどんな扱いを受けていたかには触れもしない。話題は他校の不幸として消費されていた。
俺は何も言えなかった。妻の母校をかばう一言を、その場で出してやれなかった自分の鈍さも引っ掛かっていた。
あの二人にとっては、廃校の話題は他人の家のニュースに過ぎないのだろう。同窓会の名簿を捲るような気軽さで嫁の過去を撫でていた。
夕方、娘が嬉しそうに「ママの学校の話、また聞かせて」と言ってきた。嫁は笑って頷いたが、目の奥にあの帰り道の沈黙がまだ残っているように見えた。
無神経というのは、知らないまま並べる言葉の重さに気づかない強さなのかもしれない。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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