Share
「実家を息子に譲ってもらえんかね」毎回何かをねだる図々しい親戚。親戚が本当に欲しかったものに背筋が凍った

親戚の訪問日
実家から車で20分ほどの場所に住む、父方の遠縁にあたる70代の女性がいます。
シングルマザーとして息子さんを育てあげた人です、ただ、私たちとは孫の顔も見せにくる関係性ではありました。
けれど私は、彼女の訪問日が近づくたびに胃の奥がきゅっとなる感覚を、いつからか覚えていました。
遊びに来てくれるのは、もちろん歓迎です。
問題は、帰り際のたびに玄関先で起きることでした。
「お昼、何か作ってもらえる?」
挨拶もそこそこに、私の母にお昼の支度を頼むのが、彼女の決まり文句。
お弁当を買いに行ったときも、自分の財布から小銭を出すことは一度もありません。
裏庭の柿が実った年には、一袋を勧めると満足するどころか、空いている紙袋を見つけて三袋、四袋と詰め込んでいきます。
(え、それも持っていくの)
母が普段履いていた靴。新品のスニーカー。台所の隅にあった砂糖の袋。クローゼットに掛けられていた、母のお気に入りのカーディガン。
「ちょっと借りていくね」の一言で、彼女のカバンの中に、次々と消えていくのです。
高齢になった親への、大胆な切り出し
そんな日々が続いて、私の両親も高齢になり、足腰が弱くなってきた頃。
その日も彼女は、いつものように手ぶらで実家にやってきました。
けれど、お茶を一口飲んだあとの彼女の口から出てきたのは、これまでとは桁違いの一言でした。
「実家を息子に譲ってもらえんかね」
湯呑みを置いた母の手が、ぴたりと止まったのが分かったそうです。
父の代から続いてきたこの家を、自分の息子のために、無償で譲ってほしい。
それが、世間話と同じトーンで切り出されたのでした。
その日以降、彼女は何度も実家を訪ねてきました。承諾を取りつけようと、必死だったのだと思います。
最終的に両親は、私がシングルで実家を継ぐ立場であることを盾に、はっきり断ってくれました。
(柿一袋でも遠慮なかったあの人が、ついに家まで欲しがるようになったのか)
息子さん本人から頭を下げてくる気配は、最後までありませんでした。母親に頼みに行かせるだけで、自分は表に出てこない。
あの「ちょっと借りていくね」の積み重ねの先に、家を寄こせという要求が並んでいたと気づいた瞬間、私は背筋がすうっと冷たくなりました。
後日、母のクローゼットから一部の服がない、と母が首を傾げていたのも、いまだに胸の奥に引っかかっています。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

