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「押せば何とかなる」と休日に知人宅へ押しかけた長男→紹介した私が大切な人を失ったモヤモヤ

押せば何とかなると休日に知人宅へ押しかけた長男→紹介した私が大切な人を失ったモヤモヤ

叱られたことのない長男

長男に、長年の付き合いがあった知人の娘さんを、お見合い相手として紹介したことがあった。

家柄も悪くなく、跡取りとして地に足のついた縁談になればという、ただそれだけの気持ちだった。

長男は、田舎の本家でひとり大事に育てられた人だった。

若い頃に交通事故を起こしても、年を重ねてからわがままを通しても、両親からも祖父母からも一度も叱られたことがないと、本人が笑いながら話す。

「うちはそういう家だから」が口癖のような人だった。

お見合いの席は穏やかに進んだが、その後、知人から電話が入った。お嬢さんは一度会っただけで、丁寧に縁談を断りたいとのことだった。

理由はあえて聞かなかった。お嬢さんがそう感じたのなら、それが答えだろうと思った。

長男にも、その旨を仲人として伝えた。深く頭を下げて、丁寧に話したつもりだった。

けれど長男は、私の話の途中で、ふっと笑って首をかしげた。

「押せば何とかなる」

そう独り言のようにつぶやいて、その場では「分かりました」と頷いてみせた。私は、その横顔に走る微かな違和感を、その時はうまく言葉にできなかった。

休日ごとに鳴り続けたインターホン

違和感の正体が見えたのは、それから数週間後だった。仲人である我が家を通すこともなく、長男は休日ごとに、知人の自宅へひとりで押しかけるようになっていた。

玄関先で「ちょっと挨拶だけでも」と粘り、お嬢さんを呼んでくれと頼み込み、断られても次の週末にはまた現れる。それを何週も繰り返したらしい。

ある夜、知人から、いつもより硬い声で電話が入った。普段は穏やかな口調を崩さない人が、言葉を選びながらも、はっきりとこう告げてきた。

「もう来ないよう伝えてもらえませんか」

聞いた瞬間、頭の中で何かが崩れる音がした。私は受話器を握ったまま、何度も何度も謝った。

けれど、いくら謝っても、知人の声が元の柔らかさに戻ることはなかった。

翌日、私はお詫びの品とお金を包み、知人の家へ伺った。

玄関先で深く頭を下げ、紹介した立場として責任を取らせてほしいと話した。知人は受け取りながらも、最後まで目を合わせてはくれなかった。

本家の長男は、私からどれだけ強く伝えても「そんなに迷惑だったかな」と首をかしげるだけだった。

叱られた経験のない人に、人が傷つく境界線は、最後まで届かなかった。

あの一件以来、知人とは年賀状のやり取りも途絶えた。長年こちらの愚痴を笑って聞いてくれた、数少ない大切な相手だった。

誰の悪意でもないところで、人と人の縁が静かに切れていく。お詫びの帰り道、空がやけに広く感じた夕方の景色を、いまでも覚えている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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