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「直してでも、この一枚が着たいんです」毎回服のお直しを頼む常連客。お金をかけてでも選んだ服を購入したい理由

「直してでも、この一枚が着たいんです」毎回服のお直しを頼む常連客。お金をかけてでも選んだ服を購入したい理由
選んだあとには、いつもお直しを頼まれた
婦人服の売り場で働いていたころ、よく来店される女性のお客さまがいました。
決まった曜日の午後にいらっしゃることが多く、入口で私たちに軽く会釈をすると、ゆっくり店内を見て回ります。
その方がよく足を止めるのは、小さいサイズの商品が並んでいる棚でした。
気に入った服が見つかると、鏡の前でしばらく合わせてからレジへ持ってこられます。そして購入するときには、ほとんど毎回、お直しを希望されました。
「これ、丈を少し短くできますか?」
「はい。ほかにも気になるところがあれば、一緒に確認しますね」
丈だけの日もあれば、身幅や袖について相談されることもあります。担当者が採寸し、できる範囲を説明すると、その方はいつも熱心に聞いていました。
お直しが何か所か重なると、当然料金も上がります。
それでも「お願いします」と迷わず答えられるので、私は少し不思議に感じていました。
もっと直しの少ない服を選ぶ方法もあるのに、なぜ毎回ここまで手をかけるのだろう。
そんな疑問が、ずっと心に残っていたのです。
「直してでも、この一枚が着たいんです」
ある日、その方がワンピースを持ってレジにいらっしゃいました。
いつものように採寸をして見積もりを確認すると、お直し代は3000円ほどになりました。
私は念のため、もう一度金額をお伝えしました。
「今回はお直しが何か所かありますので、3000円ほどかかります。それでもよろしいですか?」
すると、その方はワンピースを見ながら笑いました。
「大丈夫です。直してでも、この一枚が着たいんです」
あまりにも迷いのない返事だったので、私は思わず「そんなに気に入ってくださったんですね」と返しました。
「そうなの。せっかく買うなら、自分が好きだと思ったものを着たいでしょう?」
その言葉を聞いて、私はようやく納得しました。
私がお直し代ばかり気にしていた一方で、その方にとって大切なのは、少しでも安く服を買うことではありませんでした。
気に入った一着を選び、自分が着やすいように整えて、長く楽しむ。それがその方なりの買い物だったのです。
仕上がったワンピースを取りに来られた日、その方は鏡の前で袖を通し、「ちょうどいいわ」とうれしそうに笑っていました。
服の選び方は、人によって本当に違います。売り場を離れた今でも、あの方の「直してでも、この一枚が着たい」という言葉を、ときどき思い出します。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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