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「あの2人ってまだやってるの?」社員旅行で他支店から飛んだ一言→社内中に広まっていた教育係と上司の不倫

教育係の機嫌が、毎日の業務量を決めていた
社会人2年目の頃、5つ年上の女性が私の教育係でした。仕事を覚えるためのお手本のはずが、実際は彼女の機嫌が、毎日の業務量と内容を決めていたのです。
朝、フロアに入った瞬間に伝わる空気の温度。机の上に資料の束が無造作に置かれている日は、決まって彼女の機嫌が悪い日でした。
「これ、お願い」
顔も上げずに、面倒な手作業の入力を全部こちらに回してくる。逆に評価につながる重要な提案資料は、私が下準備をした後で「私がまとめておくから大丈夫」と取り上げ、自分の手柄にして持っていく。
原因はすぐに分かりました。
私の直属の上司にあたる管理職の男性と、彼女が不倫関係にあったのです。
機嫌の良し悪しは、上司との連絡の有無で決まる。
前日にメッセージのやり取りがうまくいかなかった日は、私への当たりが二段階強くなる。
プライベートの空気を職場にそのまま持ち込み、誰も注意できないまま回り続ける席の周辺。
私は黙って雑務を引き受けながら、辞めようかと毎晩考えていました。
他支店の宴席で、こちらを見ながら笑う声が聞こえた
転機は、年に一度の社員旅行でした。
温泉地の宴会場で、各支店の社員が入り混じる夜。
私は壁際で他支店の同年代の方々と話していたのですが、向こうの席から、ふとした拍子に小さな笑い声が聞こえてきたのです。
「あの2人ってまだやってるの?」
顔を上げると、視線の先は私の教育係と直属の上司。
二人は離れた席で、ぴったり寄り添って酒を注ぎ合っている。それを見ながら、他支店の年配の女性社員と中堅男性が、口元を隠して半笑いで囁き合っていたのです。
「もう何年目よ、あの茶番」
「奥さん、まだ気づいてないのかね」
声の温度に、棘も同情もない。心底どうでもよさそうな、ただの観察。社内中に広まった末の、最後の段階の冷えた感想でした。
(みんな、知ってるんだ)
胸の中で、ずっと固まっていた何かがほどけていく感触がありました。
翌日のバスでも、休憩の喫煙所でも、二人の名前は冗談の素材として軽く口にのぼっていました。私の支店の中では誰も触れない聖域だったのに、外側では何年も前から失笑のネタにされていたのです。
会社に戻ってからも、教育係の機嫌は相変わらずでした。けれど不思議と、もう以前のようには刺さらなくなったのです。
(あなたが偉そうに振る舞っているこの席、外の支店からは全部見えていますよ)
そう胸の中で呟くだけで、雑務の山も少し軽くなる。後ろ盾だと信じていた職場の力関係は、社外の目では何の値打ちもなかった。その事実だけで、私は数年ぶりに背中を伸ばして仕事に向かえるようになったのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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