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「仕事したらだめなのか」台風で休園になった日。だが、子どもを見ていた私が言われた一言に感じた本音

「仕事したらだめなのか」台風で休園になった日。だが、子どもを見ていた私が言われた一言に感じた本音
休園の連絡と、閉まった扉
朝から雨が窓を叩いていた。
台風が近づいていると前の晩から言われていて、その日の登園は取りやめになった。
「今日はお休みだって」
そう伝えると、子どもはうれしそうにおもちゃ箱をひっくり返した。
夫はその日、家で仕事をする予定だった。
「悪い、今日は会議が詰まってる」
夫はパソコンを抱えて奥の部屋へ入っていった。
扉が閉まる音がして、それきり物音がしなくなった。
夫の仕事が大切なことは、私だってわかっている。
家計を支えているのは夫の働きだし、休みの日でも呼び出しがかかるのを見てきた。
だから扉が閉まったこと自体に、文句を言うつもりはなかった。
ただ、その日の私は、いつもと同じことを、いつもより長い時間やり続けていた。
朝ごはんを出して、こぼれた牛乳を拭いて、洗濯物を部屋の中に干して、絵本を読んで、昼ごはんを作って、また拭いた。
外に出られないぶん、子どもは家の中を走り回る。
「ママ、こっち来て」
呼ばれるたびに手を止めた。
台所に戻ると、湯が沸きすぎて音を立てていた。
洗い物を片づけながら時計を見ると、まだ昼を過ぎたばかりだった。
外は昼間なのに暗く、風の音が強くなったり弱くなったりを繰り返している。
奥の部屋からはときどき夫の話し声がもれてきて、そのたびに私は子どもに向かって、静かにね、と口の前で指を立てた。
言いたかったのは、そういうことじゃない
雨の音がいちだんと強くなったころ、夫が部屋から出てきた。
「今日は疲れた」
その一言が、なぜかその日だけは素通りしなかった。
「私だって、ずっと動いてたよ」
言い方は、たぶん柔らかくなかったと思う。
夫の顔つきが、すっと変わった。
「仕事したらだめなのか」
強い口調だった。
換気扇の音だけが残った。
違う、と思った。
仕事をするなとは言っていない。
会議を抜けてほしいわけでも、皿を洗ってほしいわけでもない。
ただ、この一日が私にとってどういう一日だったのかを、少しだけ知っていてほしかった。
大変だったね。それだけあれば、たぶん何も残らなかった。
けれど説明しようとするほど、責めている形になっていく気がして、言葉は喉のところで止まった。
「ごはん、できてるよ」
結局、口から出たのはそれだった。夫はうなずいて、席に着いた。
子どもはいつもどおり食卓で笑っていて、夫もいつもどおり箸を取る。
窓の外を、風が音を立てて通り過ぎていく。言いたかったのはそんなことじゃなかったのにな、と思いながら、私は台風の音を聞いていた。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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