Share
「年収がもう少し高ければ、こっちも安心なんだけどね」義母の失礼な言い分。だが、妻の正直な気持ちに救われた瞬間

片道3時間かけて帰省した、結婚3年目の正月
結婚して3年目の正月、私は妻と車で片道3時間かけて義実家へ向かいました。
途中で渋滞にはまり、サービスエリアで休憩を挟みながら交代で運転し、ようやく到着したころには、すっかり体が固まっていました。
玄関を上がると、奥の大広間からにぎやかな声が聞こえてきます。
義父母のきょうだいや妻のいとこ、その家族まで集まっていて、すでに十数人が座卓を囲んでいました。
私は妻と空いている席に座り、親戚たちに新年の挨拶をしました。
結婚して数年経っているとはいえ、年に何度も顔を合わせる人たちではありません。しばらくは近況を聞かれたり、仕事の話をしたりしながら、少し緊張して過ごしていました。
食事が進んだころ、親戚の一人が私に尋ねました。
「仕事のほうはどう?忙しいの?」
「忙しい時期もありますけど、なんとかやっています」
そんな当たり障りのないやり取りをしていると、義母が会話に入ってきました。
以前から義母は、私たちがきちんと生活できているのか気にすることがありました。娘が結婚して遠方で暮らしていることもあり、顔を合わせるたびに「生活は大丈夫?」と聞かれることもあります。
その日も、おそらく娘を心配する気持ちから出た言葉だったのでしょう。
義母は笑いながら、何気ない調子で言いました。
「まあ、年収がもう少し高ければ、こっちも安心なんだけどね」
それまで続いていた会話が、そこでふっと途切れました。
義母に悪意があったわけではないのだと思います。しかし、大勢の親戚がいる前で言われると、私はどう返せばいいのかわかりませんでした。
「はは……頑張ります」
そう笑って返したものの、内心ではかなり気まずくなっていました。
義父がすぐに「二人でちゃんと生活できているなら、それでいいだろう」と話を収めようとしてくれました。
別の親戚も違う話題を振ってくれましたが、一度意識してしまうと、私は自分が値踏みされているような気持ちになってしまいました。
黙っていた妻が、母に伝えたこと
すると、それまで隣で黙っていた妻が顔を上げました。
「お母さん、それはみんなの前で言わなくていいと思う」
義母は少し驚いたように妻を見ました。
妻はそのまま続けました。
「この人を選んだのは私だし、生活だって二人で考えてるよ。もし足りないことがあったとしても、二人でどうにかするから」
声を荒らげたわけではありません。それでも、妻がはっきり言ってくれたことで、張りつめていた空気が少し変わりました。
義母はしばらく黙ったあと、「そうね、ごめんね」と小さく答えました。
その後は義父が道中の渋滞の話を振ってくれ、親戚たちの会話も少しずつ元に戻っていきました。
帰りの車で、妻はしばらく前を向いたまま黙っていました。そして高速道路に入ったころ、ぽつりと言いました。
「さっき、すぐ言えなくてごめん」
私は「いや、言ってくれてありがとう」と返しました。
義母が私たちの暮らしを心配していること自体は理解できます。ただ、家族だからこそ、どこまでを人前で口にするのかは別の話なのだと思います。
片道3時間の帰り道は長いはずなのに、その日は行きよりも少しだけ短く感じました。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


