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「ママ、うえに、ひとがいる」滑り台の踊り場でご飯を食べていた親子。だが、順番を待つ子供が増えた結果

滑り台のいちばん上に、レジャーシートが広がっていた
よく晴れた休日の午前でした。私は子どもを連れて、歩いてすぐの公園へ出かけました。
うちの子のお目当ては、いつも決まって滑り台です。
その滑り台は、階段を登りきったところの踊り場が広めに作られています。滑る前に一度立ち止まって、下を見渡せるくらいの広さです。
「ママ、すべりだい、いってくるね」
走っていく背中を見送って、私はベンチのそばで待っていました。ところが、登っていったはずの子が、途中で止まったまま戻ってきます。
「ママ、うえに、ひとがいる」
言われて見上げて、私は自分の目を疑いました。踊り場に、レジャーシートが広がっていたのです。
その上に親子が座り、お弁当らしきものを膝にのせて、のんびりと食事をしていました。芝生も、木陰のベンチも、すぐそこにあるのにです。
うちの子はもう一度、階段を登りきりました。
けれど目の前をシートがふさいでいて、滑り口へは進めません。
それでも親子は、こちらを見ようともしませんでした。場所を空ける気配もありません。
「……すみません」
下から声をかけてみましたが、反応はありませんでした。もう一度言おうとして、やめました。強く言って揉めるのが、怖かったのです。
「ちょっとだけ、待ってみようか」
そう言うのが精いっぱいで、私は子どもをブランコのほうへ連れていきました。
階段に、順番を待つ子が増えていった
ブランコを押しながら、私はときどき滑り台を見上げていました。親子はまだ動きません。
「ママ、まだ、たべてるよ」
子どもがそう言うたびに、私は曖昧にうなずくしかありませんでした。
そのうち、公園に来る家族が少しずつ増えてきました。
滑り台へ向かった子が階段を登り、途中で止まって、また下りてくる。それが何度か繰り返されました。
やがて、下りずにその場で待つ子が出てきました。
一人が階段の途中で立ち止まると、その後ろにもう一人、さらに後ろにもう一人。
階段が、順番を待つ子どもたちで埋まっていきました。誰も文句は言いません。ただ静かに、自分の番を待っているだけです。
その並びに、ようやく親子が気づきました。座ったまま下を振り返り、階段いっぱいの子どもたちを見て、動きが止まりました。
そこからは早かったです。食べかけの包みをまとめ、シートの端を持ち上げてたたみ、抱えて階段を下りていきました。
「ママ、もう、いっていい?」
待っていた子どもたちが、次々に滑っていきます。うちの子も列の後ろに並んで、何度も何度も滑りました。帰り道、私は言いました。
「滑れてよかったね」
子どもは笑ってうなずきました。当たり前のことをわざわざ言葉にした自分が、少しおかしくなりました。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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