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「うちの子を、前の組に変えてください」運動会で先生に食い下がる保護者。だが、近くにいた男性の一言で態度が一変

うちの子を前の組に変えてください運動会で先生に食い下がる保護者だが近くにいた男性の一言で態度が一変

入場門の前で始まった押し問答

小学校の運動会の日でした。

午前の徒競走を前に、子どもたちは入場門の近くで走る組ごとに並んでいます。

私が保護者席のロープ際で待っていると、少し離れた場所から大きな声が聞こえてきました。

見ると、丸めたプログラムを手にした男性が、走順表を持つ先生の前に立っています。

「うちの子を、前の組に変えてください」

先生は困った表情を浮かべながらも、落ち着いて答えました。

「走る順番は、学年全体の人数や組み合わせを見て決めています。直前の変更はできません」

しかし、男性は引き下がりません。

「一人くらい入れ替えても問題ないでしょう」

「申し訳ありませんが、ほかのお子さんの順番も変わってしまいますので……」

「うちの子は、ずっと待たされているんですよ。かわいそうじゃないですか」

周囲にいた保護者たちも、何事かと二人のやり取りを見つめていました。

競技はもうすぐ始まります。

先生は何度も頭を下げていましたが、男性は走順表を指さしながら、なおも食い下がっていました。

隣にいた父親の一言

そのとき、男性のすぐ近くに立っていた別のお父さんが口を開きました。

肩から大きな水筒を提げ、低学年用の帽子を手に持っていた人です。

声を荒らげることもなく、静かに言いました。

「順番まで親が決めたら、あの子の運動会じゃなくなりませんか」

男性の手が止まりました。

隣のお父さんは、入場門の前に並んでいる子どもたちへ目を向けます。

「今日は、子どもたちが自分で頑張る日だと思いますよ」

男性は何か言い返そうと口を開きました。

しかし、先生や周囲の保護者の視線に気づいたのか、やがて走順表から手を離しました。

「……分かりました」

先ほどまでの勢いはありません。

男性は丸めていたプログラムを広げ、保護者席へ戻っていきました。

「もっと速く」と叫びかけて

しばらくして、男性の子どもが走る組の番になりました。

スタート地点に立った子は、緊張した様子で何度も足元を見ています。

ピストルの音が鳴り、子どもたちが一斉に走り出しました。

男性は身を乗り出します。

「もっと速く」

大きな声を出しかけたところで、ふと口を閉じました。

先ほど隣のお父さんから言われた言葉を思い出したのかもしれません。

男性は握っていたプログラムを下ろし、走っている我が子を黙って見守りました。

その子は途中で一人に抜かれました。

それでも止まらず、自分のペースで最後まで走り切ります。

白いゴールラインを越えると、息を切らしながら保護者席のほうを振り返りました。

真っ先に拍手を始めたのは、あの男性でした。

順位について何か言うこともありません。

ただ、両手を大きく叩きながら、何度もうなずいています。

その姿を見つけた子どもは、ほっとしたように笑いました。

周囲の保護者からも、次々と拍手が起こります。

私も手を叩きながら、隣のお父さんが口にした言葉を思い返していました。

運動会で頑張るのは、親ではありません。

走る順番も、結果も含めて、その日の経験は子ども自身のものです。

親にできるのは、先回りして道を変えることではなく、最後まで頑張る姿を見守ることなのかもしれません。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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