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「アイスに触るな、溶けるでしょ」レジで無茶を言う客。だが、店員の毅然とした対応に唖然

「アイスに触るな、溶けるでしょ」レジで無茶を言う客。だが、店員の毅然とした対応に唖然
夕方のレジに流れてきたかご
大学生のころ、スーパーのレジでアルバイトをしていました。
夕方は買い物かごが途切れずに流れてきます。
特売の日は列がお菓子の棚まで伸びて、私は読み取り音だけを頼りに手を動かしていました。
四十代くらいの女性が置いたかごは、一番上に箱入りのアイスが載っていました。
いつもどおり手を伸ばした瞬間、鋭い声が飛んできます。
「レジでアイスに触るな、溶けるでしょ」
近くの話し声が、すっと止まりました。
「申し訳ございません。お会計のために、こちらでお預かりいたします」
「いいから触らないで。溶けたら誰が責任取るの」
女性は私の手から箱を取り上げ、そのまま胸の前で抱え込んでしまいました。
バーコードを通さないと
後ろに並んでいた人たちの列が、そこで止まりました。かごの中の卵も豆腐も、まだ台に載ったままです。
私は手を下ろして、もう一度お願いします。
「そちらの商品は、バーコードをお読みしないとお会計ができません」
「読み取る機械、持ち歩いてないの」
「申し訳ございません。当店のレジは、こちらの台にお通しする形になっております」
女性の口が、開いたまま止まりました。抱えた箱に目を落として、それから私のほうをちらりと見ます。
「……じゃあ、どうしろって言うの」
声は、さっきの半分の大きさになっていました。
一瞬だけ、お預かりします
「一瞬だけ、お預かりします。すぐお返しいたします」
できるだけゆっくり両手を差し出すと、女性は指先だけで箱を持ち替え、少し迷ってから、その上に置きました。
手のひらに、箱の冷たさが伝わってきます。
読み取り音が鳴るまで、本当に一秒でした。かごに戻した箱は、表面の霜も白いままです。
「…あ、もう終わったの」
ひとりごとのような声でした。後ろに並んでいた年配の女性が小さくうなずき、その隣の人も同じほうを向きます。
女性は財布を出すと、レジ画面のほうだけを見ていました。目は最後まで合いません。
「ありがとうございました」
返事はありませんでしたが、袋詰めの台でアイスを一番上に置き直しているのが見えました。
「今の、よくあそこまで冷静に対処できたね」
隣のレジの先輩が、レシートの束を揃えながらそう言いました。
あれから何年も経ちますが、あの一秒の長さだけは忘れられません。
「次にお待ちのお客様、どうぞ」
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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