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「店長を呼べ、この態度は何なんだ」テーブルの木くず1つで騒いだ友人の夫。だが、妻の静かな正論で空気が一変

「店長を呼べ、この態度は何なんだ」テーブルの木くず1つで騒いだ友人の夫。だが、妻の静かな正論で空気が一変
案内された席のざらつき
友人夫婦と、私たち夫婦。4人で焼肉の店に入りました。
通されたのは奥のテーブル席でした。
座ってすぐ、友人のご主人がテーブルの縁を指でなぞりました。
「ここ、ざらざらしてる」
言われてみれば、縁の塗装が少し剥げているようでした。
そのうちに、ご主人がジャージの太ももを払いはじめました。細かい木くずが引っかかっていたのです。
「取れないな、これ」
友人が身を乗り出して、指先でつまみ取りました。
「はい、取れた」
それで終わる話だと、私は思っていました。
若い店員に向けられた声
ご主人は呼び出しボタンを押しました。飛んできたのは、若い男性の店員さんです。
「お呼びでしょうか」
「このテーブル、ささくれてるよ。木くずが1つ、ズボンについた」
「大変失礼いたしました。すぐに確認いたします」
店員さんは深く頭を下げ、布巾で縁を丁寧に拭きました。
ところがご主人は、拭いている手元をじっと見てこう言いました。
「店長を呼べ、この態度は何なんだ」
店員さんの手が止まりました。
「……申し訳ございません」
「謝れば済むと思ってるだろ。そういうところだよ」
隣のテーブルの人が、こちらを見ています。友人はメニューに目を落としたまま、動きませんでした。
私は夫と目を合わせることもできませんでした。
友人が置いた一言
ほどなく、店長さんがやってきました。年配の落ち着いた男性です。
「お待たせいたしました。不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」
そう言って、テーブルの縁を指で確かめます。
「こちら、明日にでも直させます」
「それで終わりか。あの店員の態度は」
「私の指導が行き届いておりませんでした。重ねてお詫びいたします」
店長さんは言葉を置いてから続けます。
「お席をお替えすることもできますが、お連れ様がお待ちですので、ご希望を伺えますか」
ご主人が口を開きかけて、そのまま止まりました。
席を替えたいわけではないのです。本人にも答えが出せないようでした。
その沈黙に、隣の友人が静かに声を重ねました。
「もうやめて。私たち、ごはんを食べに来たのよ」
責める調子ではなく、事実だけを短く置いた声でした。
ご主人は何か言いかけて、口を閉じ、椅子に座り直しました。
「……肉、頼むか」
それきり、その日はもう何も言いませんでした。店長さんは一礼して下がり、若い店員さんが注文を取りに来ます。
4人で囲んだ焼肉は、拍子抜けするほど普通においしかったのです。
あれから何度か、同じ顔ぶれで外食をしています。あの店の話を出す人は、誰もいません。
ただ、ご主人が店員さんを呼びつける姿を、それ以来一度も見ていないのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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