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「2時までここにいようか」正月の混雑の中で居座った客。だが、店長が穏やかにかけた一言で態度が一変

1月2日、開店と同時に
その頃の私は、うどん店の昼の時間帯に入っていました。
1月2日は、11時の開店を待つ人が外に並ぶほどの日です。
戸を開けてすぐ、20代くらいの女性3人が奥のテーブル席に座りました。
呼び出しのチャイムが鳴って、注文を伺いに行きます。
「これって、海老は何本入ってますか」
「2本でございます」
「こっちのお肉のやつは、温かいのと冷たいの選べますか」
メニューをひととおり尋ねたあと、3人が決めたのはいちばん安いかけうどんでした。
「3つで。あと、ゆず胡椒もらえますか」
ゆず胡椒は無料でお付けしています。
ネギと天かすもご自由にどうぞとお伝えすると、3人はどんぶりが見えなくなるほど山盛りにして、席へ運んでいきました。
15分で空になったどんぶり
食べ終わるまでは15分ほどでした。
空のどんぶりを重ねて端に寄せ、そこから3人の話が始まったのです。
正月の店は、時間が経つほど混みます。入口の外には、コートの前を合わせて順番を待つ人が並んでいました。
追加のご注文はありません。
私は水を足しに行ったついでに、どんぶりをお下げしましょうかとだけ聞きました。
「あ、まだ置いといてください」
時計の針は、1時を回っていました。
3人の笑い声が、ふいに私のところまで届きます。
「2時までここにいようか」
悪気のある声ではありませんでした。
ただ楽しくて、外の列がまだ目に入っていないだけの声です。
私は水差しを持ったまま、何も言えずに厨房へ戻りました。
店長が席の横でかけた声
厨房から出てきた店長は、待っているお客さんの列を一度見てから、静かに奥の席へ歩いていきました。
「あけましておめでとうございます。ご来店ありがとうございます」
3人が顔を上げます。
「お待ちのお客様がいらっしゃいまして、恐れ入りますが、そろそろお席をお譲りいただけますでしょうか」
責める色は、どこにもない声でした。
3人が顔を見合わせます。それから、いっせいに荷物をまとめ始めました。
「すみません、全然気づいてなくて」
「いえ、こちらこそ申し訳ございません」
3人がこの席にいた時間は、3時間になっていました。
会計を払って、店を出ていきます。
そのまま隣のコンビニに入っていく後ろ姿を、私は窓から見送りました。
次の週から、各テーブルに小さな札が置かれるようになります。
混み合う時間のご利用は1時間を目安に、と書かれた札でした。
「これがあれば、声をかけやすいでしょう」
店長はそれだけ言って、私が最後まで何も言えなかったことには、ひとことも触れませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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