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「袋入ってないぞ、店長を呼べよ」1つの弁当で大声を上げた客。だが、パッケージの表示を見て黙り込んだワケ

レジから響いてきた声
夜のコンビニで雑誌を立ち読みしていると、レジのほうから大きな声が聞こえてきました。
何ごとかと思って、そちらへ数歩近づきました。
カウンターの前に立った男性客が、弁当の容器を店員の顔の高さまで持ち上げています。
「袋入ってないぞ、店長を呼べよ」
チキン南蛮の弁当のふたを開けて、小袋が入っていないと言い張っているのです。
レジには店員が二人いて、若いほうが応対していました。
「申し訳ございません。マヨネーズでしたらございますので、よろしければ」
「マヨネーズだと?チキン南蛮にマヨネーズを塗って食えってことか」
声はどんどん大きくなっていきます。
もう一人の店員が別のレジをすぐ開けたので、行列にはなりませんでした。
それでも、店内にいた全員がその声を聞いていました。
たった1つの弁当で、ここまで声を張ることだろうか。
気に入らないのなら、レジを通す前に別のものを選べばよかったはずです。
ふたの隅に貼られたシール
奥から出てきた店長は、落ち着いた足取りでした。
まず、深く頭を下げます。
「お待たせして申し訳ございません。ご不快な思いをさせてしまいました」
「入ってないんだよ、タルタルが」
店長は弁当を両手で受け取ると、ふたの隅に貼られた小さなシールへ指を添えました。
「こちらのお弁当は、タルタルソースが別売りのタイプでございます。100円でお付けできますので、よろしければお持ちしますね」
責める調子は、少しもありませんでした。ただの案内でした。
男性客の目が、その指先を追いました。
白いシールには、確かにそう書かれていました。字は小さいけれど、隠されてはいません。
「……いや、それは」
言葉が続きませんでした。もう一度シールに目を落とし、口を開いて、また閉じます。
カウンターに置いていた手が、ゆっくり下ろされました。
「表示が分かりにくいとのお声は、こちらでも伺っております。申し訳ございません」
店長は勝ち誇りません。声の調子も変えないまま、そう付け加えただけでした。
男性客はしばらく黙っていました。それから弁当をつかんで、小さく言ったのです。
「……マヨネーズでいい」
差し出された小袋を受け取ると、こちらを見ないまま自動ドアを抜けていきました。
あれだけ響いていた声は、最後まで戻ってきませんでした。
店内の空気がゆるみ、店長は若い店員のほうへ向き直りました。
「最後まで丁寧にやってくれましたね。助かりました」
店員が、そこで初めて息をついたのが見えました。
私が缶コーヒーを持ってレジへ行くと、その店員はいつもの声で迎えてくれました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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