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「クーポンの裏の注意書きなんて、読むわけない」レジで揉めてる客。だが、店長が差し出した紙を見て絶句

袋詰め台の後ろで上がった声
買い物を済ませて、袋詰め台で品物を詰めていたときでした。
後ろのレジから、男性の声が聞こえてきたのです。
はじめは聞き取れませんでしたが、だんだん大きくなっていきました。
手に持っていたクーポンが対象の商品に合わず、使えなかったようです。
「クーポンの裏の注意書きなんて、読むわけない」
男性は裏面を返して、びっしり並んだ小さな字を指の背で叩いていました。
レジの店員さんは、何度も頭を下げていました。
「申し訳ございません。こちらの商品は対象外になっておりまして」
「ここの店はダメだな」
「他の店へ行くぞ」
並んでいたお客さんに聞かせるような声でした。
後ろに立っていた親子連れが、そろって目を伏せます。
私は袋詰めの手を止めました。
勝手にしたらいいのに、と思いながら、店員さんが気の毒でした。
謝罪ではなかった店長の一声
売り場の奥から、店長が出てきました。走ってくるでもなく、いつもの足取りです。
「お待たせしました。私が伺います」
男性はまた同じことを繰り返しました。声はまだ大きいままです。
店長はクーポンを受け取ると、裏の条件を男性と一緒に読みました。
そして、謝りませんでした。
「たしかに、この字は小さいですね」
男性の声が、そこで止まりました。
店長は一度カウンターの奥へ入り、紙を1枚持って戻ってきたのです。
「拡大したものをお作りしましたので、次回よろしければお持ちください」
差し出された紙には、条件が大きな文字で印刷されていました。
皮肉も、嫌みもありません。
字が小さいという言い分はもっともだと受け取った、それだけの顔でした。
自動ドアが閉まったあと
男性は、その紙を受け取りませんでした。
手を伸ばしかけて、途中で引っ込めたのです。
「……いい」
目を紙から逸らすと、カゴを台に置いたまま出口へ歩いていきました。
誰にも責められていないのに、言うことがなくなったようでした。自動ドアが開いて、そのまま閉まります。
列に並んでいた人たちが、小さく息を吐きました。
親子連れの母親が、店員さんに向かって軽く会釈をしています。
店長は紙をカウンターに置き、店員さんに短く声をかけてから、売り場へ戻っていきました。
それから何日か経って、同じ店に買い物に行きました。
レジの横に、大きな文字の掲示ができていたのです。
クーポンが使える条件が、離れていても読める字で書かれていました。
「見やすくなりましたね」
そう声をかけると、レジの店員さんは少しだけ笑って、うなずきました。
あの日の言葉は、その場しのぎではなかったのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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