Share
「5回とも最初から行く気はないの」ドタキャンを繰り返したママ友。だが、幹事が全員の前で告げた一言に絶句

「5回とも最初から行く気はないの」ドタキャンを繰り返したママ友。だが、幹事が全員の前で告げた一言に絶句
当日の朝に鳴る電話
娘の幼稚園でPTAの役員をしていた頃の話だ。
親同士の顔つなぎのために、年に何度かランチ会が開かれていた。
会場は近くのファミリーレストランの個室。
人数を伝えて予約を取るのが、幹事の役目だった。
出欠を取ると、彼女はいつも出席に丸をつけた。そして当日の朝になると、必ず連絡が入る。
「子どもが熱を出してしまって」
子どもは熱を出す。それ自体を責める人はいない。ただ、それが5回続くと、店に伝えた人数は毎回動く。幹事はそのたびに開店前の店へ電話をかけ、頭を下げていた。
送迎の帰り道で、私は一度だけ聞いてみたことがある。
「いつも来られなくなって残念だね」
彼女は少し笑って、あっさりと答えた。
「5回とも最初から行く気はないの」
「欠席って先に言うと、ノリ悪いって思われそうじゃん」
気持ちが分からないわけではない。ただ、その断りづらさを引き受けているのが当日の朝に電話をかける人だということまでは、彼女の話に出てこなかった。
私は何も言わなかった。言えば告げ口になる。
数歩先の掲示板の前に、プリントを貼る幹事の背中があった。こちらは見ていない。ただ、声が届かない距離ではなかった。
案内に増えた一行
翌週、次の案内が回ってきた。日付と会場のあとに、これまでなかった一行が足されていた。
「今回から予約は前日で確定、当日のキャンセルは実費でお願いします」
役員会でその紙を配りながら、幹事は淡々と説明した。誰の名前も出さない。
「お店に人数をお伝えする都合です」
「当日に体調を崩されるのは、どのお宅にもあることですから」
責める言葉はどこにも入っていなかった。
それなのに、部屋の中で一人だけ、紙から目を上げられない人がいた。
彼女の指が、紙の端を何度も折り返している。口を開きかけて、閉じる。もう一度開きかけて、今度は声にならなかった。
「うちも当日はバタバタするので、前日確定は助かります」
別の役員がそう言うと、周りが次々にうなずいた。うなずかなかったのは、彼女だけだった。
顔を上げた彼女と、幹事の目が合う。先に視線を外したのは彼女のほうだった。
次の出欠の紙が回ってきたとき、彼女は迷わず欠席に丸をつけた。6回目にして、初めての前もっての返事だった。
「ごめんね、私は今回もパスで」
「はい、ありがとうございます。前の日に人数が決まるので助かります」
幹事は何事もなかったように紙を受け取った。
当日の朝に電話が鳴らなくなってから、会の空気は軽くなった。来たい人だけが来る会になったのだ。
廊下で幹事とすれ違うと、彼女のほうが先に頭を下げるようになった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


