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「有給を取るかは、君が決めていい」子供の発熱。優しい夫の提案に感じた違和感とは

「有給を取るかは、君が決めていい」子供の発熱。優しい夫の提案に感じた違和感とは

熱を出した朝の、二人分の支度

平日の朝、6時半。体温計が鳴って、38度2分と表示されました。

「ママ、あたま、いたい」

息子の額に手を当てると、乾いた熱が伝わってきます。

トースターの音、洗濯機の終了音、時計の針。いつもの朝の音が、その日はやけに急かしてきました。

私も夫も、その日は仕事でした。

私は午前に打ち合わせ、夫は夕方に会議。

どちらも、動かせないほどではありません。

私は頭の中で天秤を揺らしていました。有給を取るか。それとも病児保育に電話をして、預けてから出社するか。

ネクタイを締めながら、夫がこちらを見ました。

「有給を取るかは、君が決めていい」

優しい声でした。

責める調子はまったくありません。夫なりに気づかったつもりなのでしょう。

「どっちを選んでも、間違いじゃないと思うよ」

その瞬間、麦茶を注ぐ手が止まりました。

「…なんで、私が決めるの」

「え?」

「あなたが休んだって、いいんだよ」

思ったより尖った声が出てしまい、夫はきょとんとした顔で私を見ました。

「そんなつもりじゃないよ。君が決めていいって意味で」

「決めていい」と言えるのは、誰か

夫に悪気はありません。押し付けずに委ねたつもりで、優しさのつもりだったはずです。

でも、「決めていい」は「決めろ」と同じでした。選ぶのが私だと、この朝は最初から決まっていたのです。

言いたいことは、まだ喉の奥にありました。

どうしてこの家では、天秤を持たされるのがいつも私なのか。どうしてあなたは、天秤の外側に立っていられるのか。

それを口にしたら、出勤前の8分で終わる話ではなくなります。息子は熱でぐずり、私の唇は動きませんでした。

「……ごめん、なんでもない」

飲み込んだ正論は、そのまま胃の底に落ちていきました。

「無理しないでな。じゃあ、行ってくる」

夫は靴べらを使い、いつも通りの声で出ていきました。

私は職場に電話をかけ、有給の申請を出しました。

「すみません、子どもが熱を出しまして」

電話の向こうの上司は「お大事に」と言ってくれました。誰も私を責めていません。責める人がいないのに、謝っているのは私だけでした。

ゼリーをひと口運ぶと、息子は少しだけ笑いました。

「ママ、きょう、おしごとは?」

「今日はね、ずっとここにいるよ」

その返事は、私の本心でもありました。だからこそ、余計に割り切れないのです。

あれから、息子が熱を出すたびに同じ問いが浮かびます。私は休みたいから休んでいるのか、私しか休めないから休んでいるのか。その二つの見分けが、いまだにつきません。

夫はきっと、次の朝も優しい顔で言うのでしょう。君が決めていいよ、と。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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