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「謝礼の3万、ここでお渡しします」披露宴で義父が配っていた謎の封筒。だが、義父から聞いた事実に絶句

肩書きばかりが並んだ、妻側の名簿
結婚が決まって最初に悩んだのは、披露宴の招待客でした。私の側は、町工場の職人や農家ばかりです。
妻から渡された名簿を開いて、思わず息を吸い込みました。
会社役員、大学教授、病院の理事。行ごとに立派な肩書きが並んでいます。
「父の、仕事の関係の方たちなの」
「そうか。……こっちは、ずいぶん地味だな」
恐縮したのは私だけではありません。式の前の週、実家に寄ったおじが、湯呑みを置いて渋い顔をしました。
「緊張するから披露宴に出たくないな」
「そんなこと言わないでよ、人数合わせだけでも大変なんだから」
両家の顔合わせでも、妻の様子はどこか変でした。義父が一人ずつ紹介していくのを、隣で不思議そうに眺めているのです。
「あの方、お義父さんの部下?」
「……知らない。私も、初めて見る人ばかり」
義父の付き合いが広いのだろう。その時の私は、そう都合よく流してしまいました。
見送りの列で、義父が配っていたもの
式は滞りなく終わりました。
ロビーでの見送りに立つと、妻側の招待客が長い列を作ります。
その列の脇に、義父がいました。
一人ひとりの手に、白い封筒を握らせています。
「謝礼の3万、ここでお渡しします」
受け取った男性は、慣れた手つきで封筒を内ポケットへ滑り込ませました。
次の女性も、その次の男性も、まったく同じ動きです。
新郎新婦の前を通っても、誰ひとり足を止めません。封筒を受け取った順に、そのまま自動ドアの外へ消えていきました。
立派な方に出てもらうには、こちらから礼を包むものなのか。私は自分に、そう言い聞かせようとしました。
片付けが終わったあと、義父はビールを一口飲んで、あっさりと言いました。
「あれ、頼んだ人たちだから」
「……頼んだ、というのは」
「代理で出てくれる会社があるんだよ。1人3万。役員も教授も、こっちで用意した肩書きだ」
妻を見ると、目を伏せたままです。
「知ってたのか」
「……ごめんなさい。父が、そうしたいからって」
緊張してまで出てくれたおじ。人数合わせに頭を下げて回った親戚。
その向かいで拍手をしていた三十人は、封筒のために笑っていた人たちでした。
あの日の集合写真は、今も居間に飾ってあります。妻の側にずらりと並ぶ、誰ひとり名前を知らない笑顔。
義父は帰省のたび、機嫌よく「いい式だったな」と言います。この家では、どこまでが本当に用意されたものなのか。それを数える勇気が、私にはまだありません。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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