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「お菓子は女だけで分けましょう」法事の供え物を振り分けた義母。だが、夫の一言で状況が一変

「お菓子は女だけで分けましょう」法事の供え物を振り分けた義母。だが、夫の一言で状況が一変
線香の匂いが残る座敷で
義父の法要の日でした。
読経が終わっても、座敷にはまだ線香の匂いが濃く残っていました。仕出しの膳が下げられ、親戚たちがようやく肩の力を抜いたころのことです。
祭壇の前には、お供えのお菓子や果物が山のように積まれていました。
それを親戚の家ごとに分けて持ち帰る作業が、まだ残っています。
義母が、ぱんと手を打ちました。
「お菓子は女だけで分けましょう」
ざわめきが、すっと引きました。
義母はにこやかに続けます。
「男の人はお茶でも飲んで、くつろいでてくださいね」
義姉が黙って立ち上がり、私も膝を立てかけました。嫁いで四十年、法事のたびに同じ光景を見てきたからです。
男たちは座布団の上でビールの栓を抜き、女たちは廊下に出て包み紙と格闘する。
台所からは食器を洗う水音が絶えず聞こえて、誰かの笑い声だけが座敷から流れてくるのです。
膝は痛みます。
正座のまま箱を数えていると、足の指の感覚がなくなってくる。
それでも、おかしいと口に出す人はいませんでした。
夫が湯呑みを置いて言った
ところが、その日は違いました。
夫が湯呑みを置いて、口を開いたのです。
「みんなでやれば、いいやん。早く済むよ」
義母の笑顔が、途中で止まりました。
「あら、でも…男の人がそんなこと」
「そんなことって、袋に入れるだけやろ」
夫はもう立ち上がっていました。祭壇の前にどかりと座り、菓子折りの箱を開け始めます。
隣にいた甥が「僕もやります」と腰を上げました。義兄も「そりゃそうや、人数おったほうが早い」と続きます。
気づけば、座敷にいた男たちがぞろぞろと集まってきました。缶ビールは、栓を抜かれないまま盆の上に残っています。
「これ、どの家に何個ずつ?」
「そこの紙に書いてありますよ」
義母は畳に座ったまま、ぽかんとした顔で私たちを見ていました。何か言おうとして、口が半分開いたまま止まります。
やがて小さく苦笑いをして、「……まあ、たまにはねえ」とだけ言い、目を逸らしたのです。
いつもなら一時間はかかる作業が、二十分もかかりませんでした。廊下で正座をする人も、台所にこもる人もいません。分け終えたお菓子を囲んで、みんなでお茶を飲む時間まで残ったのです。
帰り際、義母が玄関でぽつりと言いました。
「あんたのご主人は、変わってるねえ」
「そうですね。おかげで助かりました」
はっきりそう返すと、義母はもう何も言いませんでした。次の法事から、義母はあの一声を出しません。誰よりも先に、自分から箱を開けて座っています。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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