Share
「そっくりさんだよ」女と娘を連れて歩く彼の姿。だが、彼を問い詰めた時の信じられない言い訳

休日のモールで見た光景
20歳の頃、4つ上の彼と付き合っていた。
仕事が忙しい人で、出張も多く、何日も連絡が取れないことが当たり前だった。
寂しさは飲み込んで、会える日だけを楽しみに待っていた。
その日も一人で買い物に来ていた、休日のショッピングモールだった。エスカレーターを降りた先で、見覚えのある後ろ姿が目に入った。
彼が、女性と、2歳くらいの女の子と、三人で手を繋いで歩いていた。
頭が真っ白になって、人混みに紛れてその場を離れた。
動悸が止まらないまま、その日は逃げるように帰った。女の子は彼を見上げて笑っていて、彼もその子に何かを話しかけていた。
通りすがりの他人があんなふうに笑い合うわけがない。
その夜は一睡もできなかった。
何度メッセージを送っても既読はつかず、電話も繋がらなかった。数日後、ようやく連絡が取れた彼に、震える指で思いきって聞いた。
「この前、モールにいたよね。女の人と子どもと一緒にいたよね」
彼は一瞬黙ったあと、軽く笑ってこう言った。
「そっくりさんだよ」
SNSに残っていた証拠
言い切られると、こちらが間違っていたような気にさせられた。連絡が取れない理由も、忙しいからだと信じ込もうとした。
けれど、どうしても引っかかった。私はその週末、SNSで彼の名前を検索してみた。
出てきたのは、見覚えのある女性のアカウントだった。
家族で水族館に行った投稿、誕生日ケーキを囲む写真、そこに写っているのは間違いなくあの日の彼だった。
投稿の文章には「パパ」とあった。
胸の奥が冷えていくのを感じながら、私はその画面を保存した。次に会ったとき、何も言わずにスマホを彼の前に置いた。
「この家族の投稿、あなたですよね」
彼の顔から、すっと表情が消えた。それでも口だけは動いた。
「いや……それも、そっくりさんじゃないかな」
「奥さんと、娘さんの誕生日まで写ってますけど」
彼は言葉に詰まり、視線を泳がせ、最後はうつむいて黙り込んだ。隣の席にいた店員が、こちらをちらりと見て気まずそうに目を逸らした。
もう、言い逃れる言葉は出てこなかった。
私は保存した画面を見せたまま、静かに席を立った。
「これで、はっきりしました。さようなら」
追ってくる足音はなかった。振り返ると、彼は人混みの中で小さくなって、私を避けるように顔を背けていた。
だまされていた悔しさより、見抜けてよかったという気持ちのほうが大きかった。あれから、年上の人と付き合うときは少しだけ慎重になった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


