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「この商品、前に買ったときより高くない?」20分近く同じ主張を続けた客。だが、店長が静かに示した一枚

「この商品、前に買ったときより高くない?」20分近く同じ主張を続けた客。だが、店長が静かに示した一枚

レジの前で始まった押し問答

販売の仕事をしていたころの話です。会計をしていると、商品を差し出したお客さんが、レジに表示された金額を見て手を止めました。

「この商品、前に買ったときより高くない?」

確認すると、その商品は少し前までセールの対象になっていましたが、期間はすでに終了しています。現在は通常価格に戻っていました。

私はそのことを説明しました。

「先日まではセール価格でしたが、現在はこちらの価格になっています」

しかし、お客さんは納得しません。

「そんなの知らない。前に買ったときはもっと安かっただろ、表記もわかりにくいんだよ、この店!」

確かに以前より金額は上がっています。ただ、値上げされたわけではなく、期間限定のセールが終わっただけでした。

私は言い方を変えながら、セールが終了していることをもう一度説明しました。

それでも「前はこの値段じゃなかった」「そんな話は聞いていない」と、やり取りは同じところを回り続けます。

やがてお客さんは、レジの奥を見ながら言いました。

「話にならないから責任者呼べよ」

そこで店長を呼びました。店長からも、以前は期間限定のセール価格だったこと、現在は通常価格で販売していることを説明しました。

それでもお客さんは「前と話が違う」と繰り返します。

気づけば、最初に声をかけられてから20分近くが過ぎていました。後ろには会計を待つお客さんも増えています。

私は申し訳ない気持ちになりながら、店長とお客さんのやり取りを見守っていました。

店長がカウンターに置いた紙

そのとき、店長がいったん事務所へ戻り、一枚の紙を持ってきました。

以前のセールで使われていた告知の控えです。

店長は何も言わず、その紙をカウンターに置きました。そこにはセール価格とともに、開催期間の日付が記載されていました。

店長が日付の部分を示します。

「こちらの期間中はこちらの価格でした。現在は期間が終了していますので、通常価格に戻っています」

お客さんは紙に目を落としました。

しばらく日付を見ていましたが、それまで続いていた言葉が止まりました。

「……じゃあ、今日はこの値段ってこと?」

「はい。申し訳ありませんが、現在はこちらの価格です」

店長がそう答えると、お客さんは少し考えたあと、「じゃあ今日はいい」と商品をカウンターへ戻しました。

大きな謝罪があったわけでも、店長が相手を言い負かしたわけでもありません。そのままお客さんは店を出ていきました。

列が動き始めてから、店長が私のところへ来ました。

「説明は間違ってなかったよ。ちゃんと落ち着いて対応できてた」

長いやり取りのあいだ、自分の説明の仕方が悪かったのではないかと少し不安になっていたので、その一言にほっとしました。

私は待たせてしまったお客さんたちにお詫びをして、会計を再開しました。

今でも思い出すのは、声の大きさではありません。何度説明しても伝わらなかったことが、日付の書かれた一枚の紙でようやく確認できた、あの瞬間です。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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