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「いつまで止まってるんだ、早くしろ」凍りついた車内の空気。だが、運転手の一言が戻してくれた瞬間

「いつまで止まってるんだ、早くしろ」凍りついた車内の空気。だが、運転手の一言が戻してくれた瞬間
いつもの朝、バスがなかなか動かなかった
通勤でいつも利用しているバスに乗っていた朝のことです。
途中の停留所でバスが止まり、運転席のあたりで乗務員の交代が始まりました。
降りる乗務員と、これから運転する乗務員が何かを確認しています。
普段ならそれほど時間はかからないのですが、その日はなかなか発車しませんでした。
私は急ぐ用事もなかったので、「少し遅れているのかな」と窓の外を眺めていました。ほかの乗客もスマートフォンを見たり、静かに座っていたりして、特に騒ぐ人はいません。
ところが突然、後ろのほうから大きな声が響きました。
「いつまで止まってるんだ、早くしろ」
さらに、その乗客は苛立った様子で続けました。
「いつまで待たせるつもりなんだ」
それまで静かだった車内の空気が、一瞬で張りつめました。
話していた人は口を閉じ、スマートフォンを見ていた人も顔を上げます。誰も何も言いませんでしたが、後ろから聞こえた怒鳴り声を意識していることだけは伝わってきました。
私が怒鳴られたわけではないのに、なぜかこちらまで緊張してしまいました。
運転手が返したのは、いつもの案内だった
そのとき、交代を終えて運転席に座った運転手が言いました。
「お待たせしました。バスはすぐに出ます。お待たせして申し訳ありません」
声を荒らげることも、怒鳴った乗客を注意することもありません。
毎朝聞くのと変わらない、落ち着いた案内でした。
後ろの乗客は何か言いかけるように口を開きましたが、そのまま黙り、座席に深く座り直しました。
やがて前のほうから小さな話し声が聞こえ始め、荷物を動かす音も戻ってきます。
誰かが怒鳴った乗客を責めたわけではありません。ただ運転手が普段どおりに案内しただけで、張りつめていた車内が少しずつ元の空気に戻っていきました。
ほどなくしてバスは発車しました。
窓の外にいつもの街並みが流れ始めると、私の緊張もようやくほどけました。声を上げた人にも、遅れたくない事情があったのかもしれません。それでも、怒鳴り声ひとつで周囲まで緊張してしまうものなのだと感じました。
自分が降りる停留所に着き、運転席の横を通るとき、私はいつものように声をかけました。
「ありがとうございました」
「お気をつけて」
返ってきたのも、やはりいつもと変わらない穏やかな声でした。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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