MENU

Share

HOME LIFESTYLE STORY COLUMN

「最近の若い人は要領がいいね」親戚が集まる正月、一人で台所に立っていた私に義母が言った一言

「最近の若い人は要領がいいね」親戚が集まる正月、一人で台所に立っていた私に義母が言った一言

誰も来ない台所で、私は手を動かし続けた

正月、夫の実家に帰省した。親戚が集まる朝、私は早くから台所に立っていた。

重箱の中身を大皿に移し、汁物を温め、人数ぶんの取り皿と箸を並べていく。

義実家の台所は勝手が違うので、必要なものを探すだけでも時間がかかった。

隣の部屋からはテレビの音と笑い声が聞こえてくる。途中で「お雑煮、まだかしらね」という声もしたが、手伝いに来る人はいなかった。

ようやく料理が並び始めたころ、義母が台所の入り口から顔を出した。

「冷蔵庫の物まで、全部出してくれてね」

最初は褒められたのだと思った。ところが義母は、出来上がった皿を眺めながら続けた。

「最近の若い人は要領がいいね。あるものを上手に使えば、昔ほど大変じゃないものね」

私は返事ができなかった。

並んでいる料理だけを見れば、そう思えたのかもしれない。

けれど私は朝からずっと、探して、温めて、盛り付けてを繰り返していた。まだお茶の一杯も飲んでいなかった。

言い返したい気持ちはあったが、正月から空気を悪くしたくなくて、そのまま手を動かした。

「これ、全部一人でやったの?」

料理を運び始めると、炬燵にいた義理の姉が台所をのぞき込んだ。

「これ、全部一人でやったの?」

私が「朝からずっとここにいました」と答えると、義理の姉は少し驚いた顔をした。

「それは大変だったね。鍋、私が持っていくよ」

その会話を聞いた義母も、こちらを見た。

「そんなに早くからやってたの?」

「はい。慣れない台所だったので、思ったより時間がかかってしまって」

義母は「あら、そうだったの」とだけ言った。

それ以上、要領がいいとも楽だとも言わなかった。

夫は特に何も言わなかったが、義理の姉が加わってからは料理を運ぶ手が増え、片付けまで一人で抱え込まずに済んだ。

きちんと謝られたわけではない。それでも、出来上がった料理だけでは見えない手間があることを、その場で分かってもらえただけで、私は少し気持ちが軽くなった。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

ほかの小説も読む

CHARACTERS

登場人物から探す

THEME

テーマ・シチュエーションから探す

ENDING

結末から探す

最も人気の短編小説

もっと見る >

スカッとする短編小説

もっと見る >

モヤモヤ短編小説

もっと見る >

ゾッとする短編小説

もっと見る >

LINEの短編小説

もっと見る >

実体験をもとにした短編小説

もっと見る >

恋愛トラブル

もっと見る >

ハラスメント

もっと見る >

金銭トラブル

もっと見る >

浮気・不倫

もっと見る >

仕事のトラブル

もっと見る >
ふと心に引っかかった「モヤモヤ」
思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」

その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

応募フォームはこちら

PROFILE

GLAM Lifestyle Editorial

編集部

日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

website
前の記事

「そのバイク、どけてもらえない?」車を持たない私の駐車スペース。だが、断りもなく停め続けた住人に絶句

GLAM Lifestyle Editorialのすべての記事を見る

Gallery

SHARE !

この記事をシェアする

Follow us !

GLAM公式SNSをフォローする

Feature

特集記事

Ranking