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「もういいよ、行こう」撮影スポットで一枚だけ撮った私たち。だが、待っていた他のグループの態度に絶句

やっと回ってきた、私たちの順番
夫と結婚する前、二人で登山に出かけた。
有名な山で、頂上に近いあたりには写真を撮るための場所がいくつか設けられていた。
天気がよく、大勢の観光客が細い道にあふれていた。
「せっかく来たんだから、ここで撮っていこうよ」
夫がそう言うので、私たちも列の最後尾についた。
前に並ぶ人たちは、家族連れも友人同士も、何度も構図を変えながら撮っていた。
待つのは苦ではなかった。ここにいる全員が同じように待っているのだから、自分の番が来るまで待つのは当たり前だと思っていた。
「まだ先は長そうだね」
「いいよ、待とう。ここまで登ってきたんだし」
そうして、やっと私たちの番が回ってきた。ただ、二人で来ているので同時には写れない。交代で撮り合うしかなかった。
「私が先に撮ってもらうね。すぐ替わるから」
夫にカメラを渡し、決められた場所に立つ。
一枚。
それだけ撮ってもらって、すぐに駆け寄った。
後ろに列が続いているのは分かっていたから、余計な時間をかけるつもりは最初からなかった。
カメラを受け取り、夫と体を入れ替える。ほんの数秒のことだったと思う。
レンズの先に、知らない背中があった
夫が立ち位置に着き、私がカメラを構えた、そのときだった。
背中の後ろで、大きな声が上がった。
何を言われているのか、すぐには分からなかった。
ただ、明らかに文句を言われているのだと分かる声だった。振り向く間もなく、後ろに並んでいた人のうちの一人が、私と夫のあいだへ割り込んできた。
ファインダーの中が、その人の背中で塞がる。
手で払うような仕草をされて、私はカメラを下ろすしかなかった。
「まだ順番の途中です、待ってください」
そう言い返せばよかったのに、喉の奥で声が止まった。夫が小さく首を振って、こちらへ戻ってくる。
「もういいよ、行こう」
これでは、もう撮れない。撮る気にもなれなかった。
私たちは黙ってその場を離れた。せっかく登ってきたのに、胸のなかだけが冷たかった。
少し歩いてから振り返ると、あの人たちはまだ同じ場所にいた。複数人のグループだったようで、順番を入れ替えながら、笑い声を上げて何枚も撮り続けている。
私たちを急かした人も、その輪の中で笑っていた。
「自分たちは、いくらでも交代していいんだね」
思わずこぼれた言葉に、夫は何も答えなかった。一枚で終わらせた私たちの数秒だけが、どうしてあんなに責められたのか。今もその答えは出ないままでいる。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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