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「なんでこんなに待たせるん?」朝食会場でスタッフに文句を言った客。盛り付けた時の態度に思わず絶句

「なんでこんなに待たせるん?」朝食会場でスタッフに文句を言った客。盛り付けた時の態度に思わず絶句
10組が並ぶ朝食会場で、ひとりだけ声が違った
今年の春、友人と温泉旅館に泊まった。
夜は何度も湯につかり、翌朝は朝食バイキングを楽しみに会場へ向かった。
廊下には出汁の匂いが流れていて、腹が鳴るのを友人に笑われた。
ところが、のれんをくぐる手前で足が止まる。入口にはすでに10組ほどが列を作っていた。
休日の朝だから仕方がない。そう思って最後尾に並んだとき、前のほうがざわりとした。僕たちの少し前にいた男性が、受付に立つスタッフへ不機嫌そうに言ったのだ。
「なんでこんなに待たせるん?」
スタッフは深く頭を下げ、順にご案内しますと繰り返した。並んでいた人たちは一斉に目を伏せ、朝の会場に妙な硬さが生まれる。隣で友人が声を落とした。
「朝から大変だな」
ほどなくその男性が席へ案内された。荷物を置くより先に、まっすぐ料理台へ向かっていく。
急ぐ理由があるのかもしれない。最初はそう思いながら、皿を手にした背中をなんとなく目で追っていた。
大皿に山盛りの唐揚げと、鞄に消えたパン
戻ってきた男性の皿は、唐揚げと卵料理で山になっていた。近くを通ったスタッフが、控えめな声で伝える。
「お取りすぎにはご注意ください」
返ってきたのは、開き直ったような一言だった。
「客の自由だろ」
スタッフは言葉を継げず、小さく頭を下げてその場を離れた。
会場の空気が一段と重くなる。だが驚いたのはその後だ。男性はパンの並ぶ台へ戻ると、何個かを手に取り、足元に置いた自分のバッグへ入れたのである。
気づいた客は僕たちだけではなかった。誰もが一瞬だけそちらを見て、すぐに手元の皿へ視線を戻す。
スタッフも少し離れた場所から、困った顔で立ち尽くしていた。
その静けさを破ったのも、先ほどのスタッフだった。
テーブルの横に静かに立ち、責める調子はまるでなく、落ち着いた声でこう告げた。
「お料理は館内でお召し上がりいただく決まりでして、お持ち帰りはご遠慮いただいております」
男性は何か言いかけて、口を閉じた。そしてバッグからパンを取り出し、黙って皿の上に並べ直した。
スタッフは小さく礼をして、次の案内へ戻っていく。
張りつめていた会場が、ふっと緩んだ。
止まっていた列も動き出し、やがて僕たちの番が回ってくる。友人が味噌汁をすすりながら、ぽつりと言った。
「言い方ひとつだな」
怒鳴らず、責めず、決まりだけを伝える。旅の思い出といえば景色や料理を挙げるものだが、僕はいまだにあの朝の光景を真っ先に思い出す。いちばん強かったのは、間違いなくあの落ち着いた声だった。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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