Share
「ちょっと見えないね」決められた場所から前に出た保護者。だが、先生が静かに戻した瞬間

「ちょっと見えないね」決められた場所から前に出た保護者。だが、先生が静かに戻した瞬間
少しでも近くで撮りたかったのだと思います
子どもの運動会を見に行ったときのことです。校庭には多くの保護者が集まり、撮影スペースにはカメラやスマートフォンを構えた人たちが並んでいました。
園では事前に、撮影する保護者は地面に引かれた線より前へ出ないよう案内されていました。
競技の邪魔にならず、後ろの人も見やすくするための決まりです。
ところが競技が始まってしばらくすると、一人の保護者が列から少しずつ前へ出ていきました。
ちょうどその人のお子さんが走る場面だったようです。少しでも近くで、少しでも大きく撮りたかったのでしょう。気持ちは分かります。
ただ、その人が前へ出たことで、後ろにいた保護者からは子どもたちの姿が見えにくくなってしまいました。
「ちょっと見えないね」
近くから小さな声が聞こえます。背伸びをしたり、横へ体をずらしたりする人もいました。それでも誰かが直接注意することはなく、少し気まずい空気だけが広がっていました。
先生は責めるのではなく、元の位置を示した
そこへ先生が一人、撮影スペースのほうへ歩いてきました。
先生はその保護者の隣まで行くと、強い口調で注意するのではなく、地面の線を手で示しながら穏やかに声をかけました。
「すみません。こちらの線の内側からお願いします」
保護者はカメラを構えたまま、少し困ったように答えました。
「今、うちの子の出番なんです」
先生はすぐに否定しませんでした。
「そうですよね。撮ってあげたいですよね」
そう言ってから、一歩後ろの場所を示します。
「この位置なら前も見えますし、後ろの方の視界も通ります。こちらからお願いします」
責められると思っていたのか、その保護者は一瞬黙りました。それから小さくうなずき、線の内側へ戻りました。
先生が離れたあとも、周囲から拍手が起きるようなことはありません。ただ、背伸びをしていた人たちが自然に姿勢を戻し、撮影スペースは元の状態に戻っていきました。
気持ちを受け止めてから伝えた一言
子どもの大切な瞬間を、できるだけ近くで残したい。その気持ちは、周りにいた保護者もきっと同じだったと思います。
だからこそ先生は、「ルール違反です」と責めるのではなく、まず撮りたい気持ちを受け止め、そのうえで守ってほしい場所を示したのでしょう。
ほんの短いやり取りでしたが、相手を追い詰めずにルールを守ってもらう伝え方が印象に残った出来事でした。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


