Share
「今日は遅かったね」ほとんど話したことのない隣人。だが、帰宅時間を言い当てられて気づいた違和感

ほとんど話したことのない隣人から声をかけられた
四年前まで、私は小さなアパートで一人暮らしをしていました。
同じ階には五十代くらいの男性が住んでいて、引っ越したときに挨拶をした程度の関係でした。
廊下ですれ違えば会釈をするくらいで、仕事や休日の過ごし方について話したことはありませんでした。
その男性は人付き合いが好きなようで、他の住人とも駐車場や郵便受けの前でよく立ち話をしていました。
私にも、ときどき天気のことなどを話しかけてきました。
そんなある日の仕事帰りです。
「今日は遅かったね」
郵便受けを確認していると、後ろからそう声をかけられました。
確かにその日は残業で、普段より一時間ほど帰宅が遅くなっていました。
ただ、帰宅時間について男性と話したことはありません。
「そうですね、ちょっと仕事が長引いて」
そのときは深く考えず、そう答えて部屋へ戻りました。
ところが数日後、朝に顔を合わせたときにも言われました。
「今日はいつもよりゆっくりなんだね」
その日は午後から仕事だったため、いつもより遅い時間に家を出るところでした。
偶然よく顔を合わせているだけなのかもしれない。そう思いながらも、私は少し気になるようになりました。
世間話のつもりでも、私は落ち着かなくなった
それからも男性は、顔を合わせるたびに気軽な調子で声をかけてきました。
「昨日は早かったね」
「この前の土曜は出かけてたん?」
「最近、帰り遅い日多いね」
男性に悪意があるようには見えませんでした。
おそらく本人にとっては、近所の人との何気ない世間話だったのだと思います。
ただ私は、自分でも意識していない生活の変化まで相手の口から出てくることが、だんだん気になるようになりました。
ある日の夜、仕事を終えて駐車場に入ると、男性が自分の車の近くに立っていました。
「今日は残業やったん?」
そう聞かれて、私は思わず足を止めました。
男性はいつものような調子でしたし、待っていたわけではなく、たまたま外に出ていただけだったのかもしれません。
それでも私は、「自分の帰宅時間をかなり覚えられているのかもしれない」と感じてしまいました。
それからは、必要以上に立ち話をしないようにし、声をかけられても挨拶だけで部屋へ戻るようにしました。
するとある日、「最近忙しそうだね」と言われました。
悪気のない言葉だったのだと思います。それでも、その頃には男性と顔を合わせること自体に少し身構えるようになっていました。
結局、特に大きなトラブルが起きたわけではありません。
ただ、相手にとっては何気ない会話でも、自分の生活時間について何度も言われると、こんなにも落ち着かなくなるのだと初めて知りました。
その後しばらくして私は別の事情で引っ越しましたが、今でも「今日は遅かったね」と言われたときの、説明しにくい違和感を覚えています。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


