Share
「母は昔から誰にでも距離が近いんだ」初めて義実家に宿泊、距離感が近すぎる義母。だが、夫の一言に思わず納得

「母は昔から誰にでも距離が近いんだ」初めて義実家に宿泊、距離感が近すぎる義母。だが、夫の一言に思わず納得
六時半のリビング
結婚して間もない頃、初めて義実家に泊まりました。前の晩は、何時に寝るかまで夫に確認したくらいです。
朝、六時半にリビングへ行くと、義母はもう台所に立っていました。
「洗濯物も見たよ、よく眠れた?」
手を止めずに、そう聞かれました。前の晩、洗濯機に入れておいた分のことです。
「あ、はい。おかげさまで」
「寝返りの音が少し聞こえたけど、大丈夫だった。枕、合わなかったんじゃない」
湯呑みを受け取る手が止まりました。眠っている間の様子まで届いていたとは、思ってもいませんでした。
扉はノックなしで開く
部屋に戻って化粧をしていると、後ろで扉が開きました。ノックはありません。
「もっと明るい色のほうが似合うと思うよ」
鏡越しに目が合って、手が止まります。義母は洗濯かごを抱えたまま、まっすぐこちらを見ていました。
「そう、でしょうか」
「うん。うちの娘にも同じこと言ったの」
悪気がないのは、声の調子で分かります。分かるのですが、返す言葉が出てきませんでした。
夕食の席でも同じでした。私の茶碗をちらりと見て、義母が身を乗り出します。
「あなたの好みを知りたいから。人参、残ってるでしょう」
「すみません、お腹がいっぱいで」
「謝らなくていいの。次から入れないだけだから」
箸を置いたあとも、しばらく背中に力が入ったままでした。
帰り支度をしながら小声で
二日目の朝、客間で荷物を詰めながら、隣にいた夫に小声で聞きました。嫌だという話ではないのだと、前置きを三回ほど挟んで。
「お義母さんって、いつもああなの」
夫はTシャツを畳む手を止めずに、あっさり答えました。
「母は昔から誰にでも距離が近いんだ」
宅配の人にも同じことをするのだと言います。玄関先で体調を心配して、そのまま飴を握らせるのだそうです。
「高校のとき、家庭訪問に来た担任にも同じこと聞いてたよ」
ファスナーを引く手が止まりました。私が特別に見張られていたわけではなく、誰にでも等しくそうしていただけでした。
そう分かってからは、こちらの構え方も変わりました。次に泊まった朝、リビングで先に切り出したのは私のほうです。
「お義母さん、朝は八時まで起きませんので」
義母は湯呑みを持ったまま二秒ほど止まって、それから声を上げて笑いました。
「はいはい、分かりました」
今も月に一度は顔を出しています。扉は、ちゃんとノックされるようになりました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


