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「2万円分、全部まとめて引くから」行列の先頭で景品を次々と袋に詰めた客。だが、店員が急遽告げた一言とは

開店前から駐車場まで続いた列
近所のコンビニで、人気キャラクターのくじが発売される日でした。
私はたまたま用があって、朝早くに家を出ていたのです。
店の前に着くと、駐車場のほうまで列が伸びていました。
「これ、何時からですか」
「10時からって、貼り紙してありましたよ」
前に並んでいた人が、入口のほうを指さして教えてくれます。
列には親子連れが多く、私のすぐ後ろにも、母親と男の子が並んでいました。
男の子は、小さな財布を両手で握っています。
「何個買えるの」
「1個か2個ね」
「1個でいいよ」
くじの箱は、レジの横に積み上げられていました。
先頭で広げられたビニール袋
10時になって、列が動き始めます。先頭にいたのは、大きなトートバッグを提げた男性でした。
「2万円分、全部まとめて引くから」
レジの店員が、はい、と短く答えます。
男性は台の上のくじを次々と引いていきました。
出てきた景品を、持参したビニール袋にそのまま入れていきます。
ぬいぐるみ、タオル、小皿。袋はみるみる膨らんでいき、男性は二枚目のビニール袋を足元のかばんから引き出して、レジ台の上に広げました。
列は、まったく動きません。
店員は止める様子もなく、淡々と手を動かしていました。
購入の回数に制限があるとは、どこにも書かれていなかったのです。
後ろのほうから、ため息のような音が聞こえます。それでも誰も、声には出しませんでした。
後ろから聞こえた小さな声
そのとき、私の後ろにいた男の子が、母親の手を離して二歩ほど前に出ました。
「あの、まだ残ってますか」
責める声ではありません。ただ本当に知りたくて聞いた、という声でした。
店員の手が止まります。
「……少々お待ちください」
店員は奥に入って、しばらく電話をしていました。
戻ってくると、レジの前で列全体に向かって頭を下げます。
「お待たせしております。本日は、お一人様20回までとさせていただきます」
先頭の男性が振り返りました。
「聞いてないけど」
「申し訳ございません。ただいま決まりましたので」
男性は袋の口を握ったまま、少しの間、黙っていました。
それから、数えかけていた券を台に戻します。
「……まあ、いいよ」
会計を済ませて、男性は袋を提げて出ていきました。
制限を決めていなかったことが、そもそもの問題だったのだと思います。
列が動き出すと、後ろの子どもたちにも順番が回ってきました。
男の子が引いた1枚を、店員が開いて読み上げます。
「当たりです。おめでとうございます」
男の子は両手で景品を受け取って、母親のほうを振り返りました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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