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「孫にな、集めたるねん」お子さまセットのおもちゃを交換してと迫る常連客→店長が返した穏やかな一言

新しいおもちゃが並ぶ週
私の働いている飲食店では、お子さまセットに小さなおもちゃが付いてきます。
中身は箱に入っていて、開けるまで何が出るか分かりません。
新しいおもちゃが並ぶ週になると、必ず顔を出すおばあさんがいました。
「今日から新しいのやろ。ひとつちょうだい」
「はい、こちらのセットになります」
「孫にな、集めたるねん」
そう言って笑う顔は、いつも機嫌がよさそうでした。
小銭をきれいに数えて出す人で、私たちの間でも評判のいいお客さんだったのです。
「前のやつは、ようできてたわ」
「そう言っていただけると嬉しいです」
その日も、おばあさんはトレーを持って窓際の席へ向かいました。
開けていないのに、なぜ
十分ほど経った頃、おばあさんがカウンターまで戻ってきました。
手には、封をしたままのおもちゃの箱があります。
「おもちゃの箱、変えてや。これ、もう持ってんねん」
箱の封は、切られていませんでした。
「中は、ご覧になったということでしょうか」
「開けてへんよ。開けてへんけど、分かるねん」
開けていない箱の中身が、どうして同じだと分かるのだろう。
喉まで出かかった言葉を、私は飲み込みました。
うちの店では、開封したおもちゃの交換はお断りしています。
けれど未開封だと言われてしまうと、私の一存では線が引けません。
「少々お待ちください」
おばあさんは急かしませんでした。カウンターに箱を置いて、私の返事を待っています。
店長がその場で出した提案
奥から出てきた店長は、落ち着いた声の人です。
おばあさんの前に立つと、いつもの調子で頭を下げました。
「いつもありがとうございます」
「兄ちゃん、これな、持ってるやつやねん」
店長は箱を取り上げようとはしませんでした。
「でしたら、ここでご一緒に開けて確かめましょうか。未開封でしたらお取り替えできますので」
責める色は、どこにもない声でした。
おばあさんの手が、ほんの少し止まりました。
「……あー、やっぱりええわ」
そう言って、おばあさんは声を上げて笑ったのです。
「持って帰るわ。開けてみなー、分からんもんな」
「ありがとうございます。またお待ちしております」
店長ももう一度、深く頭を下げました。
おばあさんはトレーを片づけて、いつもと同じ足取りで帰っていきます。
あの人は今も、新しいおもちゃが出るたびに来てくれます。交換の話は、あれから1度も出ていません。
代わりに、この頃はレジまでわざわざ寄っていくのです。
「見て。今日は当たったで」
箱から出したばかりのおもちゃを、私の目の高さまで掲げて見せてくれます。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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