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「レジの前で食べても、いいんだろ」コンビニのレジで袋を開けた客。思わぬ出来事に店員がかけた一言

お昼どきのレジで開いた袋
お昼を少し過ぎた頃、コンビニのレジには五、六人の列ができていました。
私の前にいたのは、年配の男性です。
片手に温かいお茶、もう片方に揚げ物の紙袋を提げていました。
レジの店員さんが尋ねます。
「店内でお召し上がりになりますか」
「はい」
私はてっきり、窓際のイートインコーナーへ向かうのだろうと思っていました。
ところが、お釣りをしまい終えても、男性はその場を離れません。
レジ台の端に紙袋を置いて、封をぴりっと開けたのです。
湯気が立ち、揚げたての匂いが列の後ろまで届いてきます。
レジの前から1歩も動かないまま、男性は串を一本つまみ上げました。
私も、隣のレジに並んでいた学生さんも、思わず手が止まります。
男性は、その空気に気づいたようでした。
串を持った手を浮かせたまま、きょとんとした顔で私たちを見回します。
「レジの前で食べても、いいんだろ」
とがめる調子ではありません。本当に不思議そうな声でした。
あちらにお席がございます
店員さんは、ふっと表情をゆるめました。困った顔は、少しもしません。
「はい、店内で召し上がっていただけますよ」
そう言うと、カウンターの内側から出てきたのです。
「あちらにお席がございます、ご案内しますね」
店員さんは男性の紙袋とお茶をまとめて両手で持ち、先に立って歩き出しました。窓際まで、ほんの数歩です。
男性は串を持ったまま、その後ろをついていきました。
店員さんは紙袋とお茶をそっと置き、おしぼりを一枚添えます。
男性が椅子に腰を下ろした瞬間、その顔がぱっと明るくなったのです。
「ああ、そういうことか」
「お席のことだったんだな。店の中ならどこでもいいのかと思っとった」
「紛らわしい言い方をしてしまって、すみません」
店員さんはそう言って頭を下げ、小走りでレジに戻っていきました。
男性は窓の外を眺めながら、うれしそうに串をかじっています。
お茶のふたまで開けて、すっかりくつろいだ様子でした。
列に残っていた私たちは、なんとなく顔を見合わせました。
前にいたスーツの男性が小さく笑い、私もこらえきれずに笑ってしまいました。
自分の番が来たとき、店員さんが同じ言葉で尋ねてきました。
「店内でお召し上がりになりますか」
「いえ、持ち帰りでお願いします」
そう答えながら、少しだけおかしくなりました。
あの一言が席のことだなんて、言われてみれば、どこにも書いていないのです。
店を出るとき、窓際をちらりと見ました。男性はまだ座っていて、日の当たる机でゆっくりお茶を飲んでいました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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