Share
「疲れてるから、ご飯は後にして」皿一枚すら運ばなかった夫。だが、夫の家事を夫にやらせた結果

「疲れてるから、ご飯は後にして」皿一枚すら運ばなかった夫。だが、夫の家事を夫にやらせた結果
皿一枚も動かない休日
結婚して1年、共働きの休日だった。
私は台所で夕飯を作っていた。フライパンで油が跳ねる音と、換気扇の唸り。振り返れば、夫はソファに沈んでスマホをいじっている。朝からずっと、その体勢のままだ。
「たまにはお皿くらい運んでくれる?」
返事は、画面を見たまま飛んできた。
「疲れてるから、ご飯は後にして」
後にしてと言われても、料理は冷める。
私は皿を四枚、自分で運んだ。テーブルに置く音が、思ったより大きく響いた。
食べ終わったあとも、夫は食器を一枚も持たない。
箸を置いてそのままソファへ戻り、また同じ画面を眺め始める。シンクには茶碗と皿が積み上がり、水を張ったボウルの底で油が浮いていた。
スポンジを握ったまま、私は今まで飲み込んできた言葉を、初めて口に出した。
「じゃあ今日からあなたの洗濯物とご飯は、自分でお願いね」
夫は鼻で笑った。
「はいはい、どうぞご勝手に」
自分の分だけ返した5日間
翌日から、私は本当に自分の分しかやらなかった。
夕飯は一人前だけ作る。洗濯機に入れるのは、私の服だけ。
夫の脱いだシャツは、床に転がったままになった。
初日、夫はさっそく文句を言った。
「え、俺の分は?子どもかよ」
「疲れてるんでしょ。私も自分のことで精一杯だから」
2日目、夫はコンビニで弁当を買ってきた。
3日目も、4日目も。同じ棚の、同じ弁当。財布からあふれたレシートを数えたら、3日で4,000円を超えていた。
5日目の朝、洗面所から悲鳴のような声がした。
「シャツ、着るのが一枚もない」
洗濯かごの中で、シャツはしわのまま山になっていた。夫は義母に電話をかけて、洗濯機の使い方を聞き始める。
受話器の向こうから、はっきりとした声が漏れてきた。
「あんた、いい大人でしょう。奥さんに全部やらせて、恥ずかしくないの」
夫は「いや、あの」と言いかけて、黙り込んだ。電話を切ったあとも、シャツを抱えたまま洗濯機の前で立ち尽くしている。
その夜、夫は洗い物をする私の背中に、ぽつりと言った。
「……ごめん。これからは手伝う」
「手伝う、じゃなくて、半分ね」
夫は少し黙ってから、「分かった」とうなずいた。
今、夕飯のあとに立ち上がるのは夫のほうが早い。皿を重ねて運び、スポンジを泡立てる。洗濯物も、気づけばベランダに干してある。
先週、ソファでスマホを見ていた私に、夫が声をかけてきた。
「そこ座ってて。俺がやるから」
私が動くのをやめて、この家はようやく回り始めた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


