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「出ていけ、お前の存在がうざい」酔って毎晩暴言を送りつけた夫。だが、送信取り消しが出来ず固まった瞬間

寝たふりで消してきた20年
夫は、酒が入ると別人になる。
外で一緒に飲めば、些細なことで機嫌を損ねて先に帰ってしまう。
気づけば私ひとりが店に取り残されている。日常茶飯事だった。
厄介なのは、家で飲んで喧嘩になった時だ。
付き合うだけ無駄なので、私はさっさと寝室へ引き上げて布団をかぶる。すると、枕元のスマホが震えはじめる。
メッセージアプリに、暴言が積み上がっていく。
「出ていけ、お前の存在がうざい」
「誰のおかげで飯が食えてると思ってんだ」
「明日までに荷物まとめとけよ」
ひと晩で30件を超えることもあった。それでも私は、既読を付けない。寝たふりのまま朝を待つ。
翌朝になると、シラフに戻った夫が、こっそり全部を消すからだ。
画面に残るのは「メッセージの送信を取り消しました」の一行だけ。
夫は何事もなかった顔で味噌汁をすすり、その週末には決まって焼肉に連れていく。
1万2千円の会計を済ませる時だけ、少し誇らしげな顔をした。
「たまには、こういうのもいいだろ」
謝罪の言葉は、20年間、一度も聞いたことがない。
既読にした32件
変化を教えてくれたのは、社会人になった娘だった。
「ママ、あのアプリ仕様が変わったの知ってる?」
「知らない」
「送信の取り消し、送ってから1時間を過ぎたらもうできないの」
半年ほど前のことだ。私はその話を、黙って覚えておいた。
その夜も、夫は缶ビールを5本空けて絡んできた。
私はいつも通り寝室へ逃げ、スマホを裏返して眠った。
届いていた暴言は32件。最後の一通は、深夜2時を過ぎていた。
朝、私は台所で、その32件を上から順に開いた。1時間なんて、とうに過ぎている。
起きてきた夫が、スマホを手に取った。指が止まる。何度もスクロールして、また止まる。
「……なあ」
「読んだよ。全部」
夫の顔から、すうっと血の気が引いていった。
「あれは、酔ってたから」
「もう消せないでしょう。1時間、とっくに過ぎてるもの」
言いかけた口が、そのまま閉じた。夫はテーブルの木目に目を落として、動かなくなった。
そこへ、娘が起きてきた。私の手元を覗き込んで、短く言う。
「うわ。これパパが打ったの?」
夫は答えられなかった。
「消えないよ、それ。私も同じの持ってるから読めるし」
私は夫に向き直った。
「焼肉はもういい。次に同じものが来たら、荷物をまとめて出ていくのは私のほうだから」
夫は椅子に座ったまま、固まっていた。
あの朝から、夜のスマホは一度も震えていない。
夫は今も酒を飲む。ただ、缶を開ける前に必ずスマホを充電器へ置きに行く。自分の言葉が消えずに残る場所があると、ようやく覚えたらしい。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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